世界的にも類まれなおいしさを誇る、日本の牛肉。今回、編集長アッキーこと坂口明子が注目したのは、新潟のブランド牛「越後牛」です。寒暖差があり、雪深い地で、そのエネルギーを蓄えたおいしいお肉を、生産から加工、販売まで一貫して行っている「三国」の代表取締役・鈴木淳之介氏にお話を伺いました。
100年近い歴史とデータが生んだ新潟のブランド牛、「越後牛」の贅沢ローストビーフ
2024/10/30
株式会社三国 代表取締役の鈴木淳之介氏
―鈴木社長が3代目とのことで、これまでの歩みについて教えてください。
鈴木 弊社は、昭和5年(1930年)に祖父が始めた家畜商がルーツです。「馬喰(ばくろう)」というのですが、当時は農耕用の牛がたくさんいましたので、祖父は一軒一軒家をまわり、大きくなった牛と若い牛の入れ替えを生業にしていました。
その後、父の代になって、肉用牛の生産と牛肉の加工を始め、私が会社を継いだのが2009年です。すでに100年近く、牛と携わっている企業ということになります。
私は子どもの頃から、家の裏に牛がいるような暮らしでしたから、学校から帰ったら世話を手伝っており、学校も食肉学校に進み、大手メーカーさんにて仕事を学び、「三国」に入社しました。
直営農場にて。現在は、300頭ほどの牛を飼育している。
1頭1頭に毎日声をかけ、丁寧に世話をするのが「三国」の伝統。
―「越後牛」というのは、御社のオリジナルブランドとお伺いしました。
鈴木 昭和49年(1974年)に父が「三国畜産」として法人化したのですが、そこから、肉用牛の生産に着手しました。その時から、「越後牛」を自社ブランド牛として生産から加工、販売まで行っています。
「越後牛」は、古くは鎌倉末期に成った「國牛十図」という図説の中に初めて登場します。地元の人に親しみやすく、全国に新潟県をアピールするには最適と考えて、自社生産の肉用牛を「越後牛」と名づけました(商標登録番号5819731,5819732)。
トラックには、「三国畜産」とともに、「越後牛」の文字が見える。
―「越後牛」とはどんな牛なのでしょうか?
鈴木 黒毛和牛種とホルスタイン種の交配で生まれた牛を飼育したブランド牛です。違う畜種のそれぞれ良いところを受け継いだハイブリットのような牛で、「良いとこ取り」の畜種といえます。
また、飼育方法については、新潟県で推奨している飼育の衛生管理基準(HACCP方式)に準じており、越後牛はすべて「クリーンビーフ」として認定されています。
―おいしい牛肉を作るために工夫していることは?
鈴木 弊社独自の肥育プログラムがあります。牛の味は、食べ物と血統でほとんど決まります。血統については、同じ血統でも、他の農場では良い成績が出ても、うちではそれほど良くなかったりすることがあります。ですから、長年の経験とデータに基づき、ベテランのバイヤーが、弊社に合った優れた仔牛を目利きして買い付けています。
牛が食べる飼料については、何度もお肉の食味テストをして試行錯誤を繰り返し、これまでの経験とデータをもとに、三国オリジナルの配合飼料「美国仕上」を作り上げました。また現状に満足せずお肉がおいしくなるのならいろんなことを試し、常に研究を続けています。牛は最低でもお肉になるまでに2年くらいかかりますから、その作業を創業以来変わらず続けています。
―長年のデータの積み重ねなのですね。
鈴木 データもそうですが、やはり経験です。規模はそれほど大きくなく、飼育しているのは300頭ほどですが、それぞれの牛の性格まで把握できるほど丁寧に育てています。やんちゃすぎるとか、食い意地が張っているとか、逆に大人しいとか、牛も色々なんです。6頭ごとに同じ「ワンルーム」で生活していますから、お互いが干渉し合わず、良い環境で過ごせるように気を配っています。
―「越後牛」の味の特徴を教えてください。
鈴木 適度な霜降りでしつこくなく、あっさり食べられる肉質です。見た目の肉色、サシと呼ばれる霜降り、柔らかな歯ごたえと口の中でさらりと溶ける脂肪の旨みが特徴です。
見た目も美しい「越後牛」。
色鮮やかで霜降りが細かく、しつこくない繊細な味わいが特徴。
―ローストビーフを作るようになったきっかけは?
鈴木 40年ほど前に、先代が初めてローストビーフを食べてそのおいしさに感動し真似て作ってみたところ、それ以上においしく作れたことで、これはイケる!と商品化したと聞いています。
こちらも、塩加減や焼き時間など、何度も試行錯誤を繰り返してたどり着いた味です。最初は量販店で販売していましたが、今はネットで全国へ販売しています。
おいしさの秘密は原料の肉が一番大切です。良質な国産牛を使用し添加物などは一切使わず、味付けは塩コショウだけ。お肉の味がダイレクトに伝わるものになっています。
ネットで注文できる、ローストビーフ2種食べくらべセット。
箱を開けた時の迫力に圧倒され、思わず「おお〜っ」と声が上がる。
特製のタレと、ホースラディッシュ(西洋わさび)が付属している。
「もっと欲しい」という声に応え、購入者に限りバラでの販売もしている。
―2種の食べ比べセットですが、それぞれの特徴は?
鈴木 もも肉は、お尻のお肉です。もも肉は本来の味が楽しめてヘルシー、とても食べやすいと思います。ブリスケは、胸の肉で、肉質はローストビーフに適しており、奥深い味です。それぞれの食感の違いを楽しんでいただきたいです。ブリスケはファンが多く、年末年始などは欠品することもある部位です。
ブリスケ(上)ともも肉(下)をカットしたところ。
さしの入り方やお味の差を食べ比べることができる。
もも肉は、赤身でヘルシー。
ブリスケはほどよい噛み応えで旨味をしっかりと感じる。
カットはお好みで、厚切りでも薄切りでも。
年配の方や年末年始などのお祝い事に購入する方が多く、
ほぼリピーターからの注文とのこと。
パーティーに一品あるだけでゴージャスに。
―これからのお取り組みについて教えてください。
鈴木 牛肉のおいしさをもっとたくさんの人に知ってほしいですね。日本の牛肉というのは本当に特別なものです。他の国の牛肉とは全く違う食べ物と言っても過言ではありません。ここまで細かく管理をして一頭一頭細かく管理することは日本人にしかできないことだと思っています。
多くの方に牛肉の敷居を下げて食べていただきたいと思い、本社前には自動販売機を作りました。口コミで広がり、遠くからわざわざ来てくださる方もいます。
本社前ならではのお得なお値段と
加工されたばかりの新鮮さに、通う人も多い。
鈴木 また、食育の一環として、県内学校給食にも提供をおこないました。お子さんたちに畜産農業への関心を高めてもらえたらと思います。日本の食牛を広める活動に、SNSなども含めて、今後は力を入れていきたいと考えています。
―本日は貴重なお話をありがとうございました。
「新潟県産 越後牛 ローストビーフ食べくらべギフト 300g×2本入り」
価格:¥7,480(税込)
店名:国産ローストビーフ専門店 三国
電話:0258-22-2155(8:00〜17:00 土・日曜日・祝日・年末年始は休み)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://store.shopping.yahoo.co.jp/roastbeefmikuni/echigopule.html
オンラインショップ:https://store.shopping.yahoo.co.jp/roastbeefmikuni/
※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。
<Guest’s profile>
鈴木淳之介(株式会社三国 代表取締役)
1973年新潟県生まれ。高校卒業後、食肉学校に入校卒業し、大手食肉メーカーを渡り歩いたのち株式会社三国へ入社。2009年、同社代表取締役に就任。現在に至る。
<文・撮影/尾崎真佐子 MC/白水斗馬 画像協力/三国>