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伊勢志摩の豊かな海で育まれた良質な「あおさ」が、食卓に磯の香りと健康をお届け!

2024/10/31

今回、アッキーこと坂口明子編集長が気になってピックアップしたのは、海藻の一種として知られるあおさ。青のりと似た粉状のあおさ粉が一般的ですが、じつは良質なあおさには、それとは一線を画す上等な磯の香りと青々とした華やかさがあり、見た目も食感もまるで別ものなのだとか。
創業以来150年余り、三重県志摩市で海産物一筋に製造・販売してきたカネウフーズ株式会社が手がける、質の高い伊勢志摩産「あおさ」について、同社代表取締役社長の廣岡辰一氏にスタッフが取材しました。

カネウフーズ株式会社 代表取締役社長の廣岡辰一氏
カネウフーズ株式会社 代表取締役社長の廣岡辰一氏

―まずは、あおさのことを詳しく教えてください。

廣岡 正式にはひとえぐさと言って、青々とした鮮やかな葉とさわやかな磯の香りが特徴の海藻の一種です。乾燥した状態で保存し、さまざまな料理に使うのですが、湯で戻してものりみたいに溶けたりせず、かといってわかめやひじきのような弾力もないふんわりとやさしい食感で厚みと歯ごたえのバランスが絶妙なので、おみそ汁やお吸い物、酢の物などの具材に向いています。

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おみそ汁の具材などとして、
昔から地元の家庭料理に重宝に使われてきたのだとか。

―もともと伊勢志摩ではよく食べられていたのですか?

廣岡 はい。志摩では天然のあおさが獲れて、昔からよく食べられていたと聞いています。一説によると2000年前の文献にも登場するとか…。これも諸説ありますが、1930年頃に伊勢志摩の英虞湾(あごわん)であおさの養殖がスタートし、1970年頃に養殖技術が大きく広まったことで、今では三重県は全国の生産量の70%を占めるほどの主産地として知られるようになりました。

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調理前の見た目は、
地のり(乾燥して板のりにする前段階のフレーク状ののり)に厚みをもたせた感じ。

―英虞湾というと、真珠の養殖が有名ですが…。

廣岡 英虞湾は海岸線が複雑に入り組むリアス式海岸で、海藻や魚介の漁場に最適な岩場が混在しています。自然の山や川から流れ込む栄養たっぷりの水が対流する豊かな海ですから、養殖にも適しているんです。内海の波の穏やかな場所に杭を打ち、網を張って育てた英虞湾のあおさは栄養価が高く、しっかりたくましく成長するのが特徴です。成長したあおさは、花がひらくように葉がま~るくひらいてボリュームがあります。細長く繊維質だったり、薄くてバラバラと離れてしまうようなものは、良質なあおさとは言えません。

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海の恵みともいえる、三重県志摩市英虞湾のあおさ生産風景。

―その良質なあおさを乾燥させたものが、貴社の製品の伊勢志摩産「あおさ」ですね。

廣岡 弊社は志摩の海辺のすぐ側に立地していますから、採取直後の原藻を仕入れ、新鮮なうちに加工・販売できるのが強みだと考えています。袋を開けると、あおさ特有のふわっとした磯の香りがして、青々とした厚みのあるあおさが出てくるはずです。そして本年(2024年)、当社はそのあおさを伊勢神宮に奉納いたしました。伊勢神宮では年に一度、おかげの心を神様にお届けするため、神宮奉納物を神に捧げると共に、収穫を喜び神様に感謝する「神嘗祭(かんなめさい)」があります。神宮の年間の祭典の中でも最も重要なお祭りの一つに関わることができ、非常に嬉しく思います。

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大きめの袋に乾燥したあおさのかたまりが
たくさん入っていて、ボリューム満点!
カネウフーズのあおさが献進されたことを示す奉納証明書。

―会社の沿革を教えてください。

廣岡 創業は1872(明治5)年、かねうという名で設立し、当時はカツオ節を製造したり、鮮魚の運搬をしたりと、水産業に近い仕事をしていたそうです。1928年、屋号を金卯商店に変更したタイミングでわかめやひじきなど海藻類を主体に加工する製造メーカーとして業務を確立。1996年に現在のカネウフーズ株式会社に改名しました。

―企業として大切にしていることは?

廣岡 あおさをはじめとした、ひじき、わかめ、あらめなど伊勢志摩で育った栄養たっぷりな海藻を、創業当初から変わらない製法で製造することで、食卓に健康をお届けしたいと考えています。もちろんただ頑なに変えないのではなく、よりおいしく衛生的な状態で届けるために、加圧高温殺菌処理機、高性能選別機器などの最新鋭の設備導入も行っています。安心・安全を重視し、衛生管理を徹底することで、お客様の笑顔を引き出す――これを大切な理念として掲げています。

―社長ご就任の経緯は?

廣岡 代々の家業を継ぎました。学生時代までは社長業を継ぐかどうか決めていなかったので、大学卒業後、職種にこだわらず県外で就職して4年間働きました。社会人になって企業に使われることで、自分自身の人としてのスキルを磨きたかったのです。
祖父が亡くなったタイミングで家業の手伝いをしようかな、やはり継承しなければいけないな、という考えに至り、地元に戻って入社。先代である父が70代になった2021年、事業を継承するべく代表取締役に就任し、それと同時に自分の後継者の人材育成へとステップを進めています。バトンを途切れさせないためにも、早い段階で次世代へ繋いだ方がいいと思っているのです。

―貴社の「あおさ」開発当時のエピソードをお聞かせください。

廣岡 じつは伊勢志摩産「あおさ」の開発歴は浅く、15~6年ほど前のことなんです。というのも、その頃あおさ自体の知名度が今ほどは高くなく、地場に根づいた特産品と言っている割に付加価値もつけず安売りしているような状態でした。せっかく全国で一番の収穫場をもち、あおさ業界では一目置かれているにもかかわらず、志摩以外の業者が加工したものを地元の海藻屋が買いつけているような、おかしな状況が続いていたのです。

―商品化するのが難しかったのでしょうか。

廣岡 あおさの最大の特徴である鮮やかな色と風味を長もちさせるのに苦労しました。あおさは光に弱く、日光や蛍光灯にあたると白く変色してしまいます(地域によっては黒ずむものも)。また、湿気にも弱いので、できるだけ光と空気に触れさせない工夫が必要なのです。そこで、通常こういった商品は中身が見える透明のパッケージが鉄則なのですが、鮮度を保つために遮光性と密閉性の高いアルミの袋を導入しました。

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中が透けないアルミの袋かつチャックつきの口で品質保持。

―確かに、中身が見えないと少し不安ですね。

廣岡 ですよね。そこで、不安感を払しょくするために、まずあおさの良さを知ってもらって知名度を上げるよう、社員が一致団結してPRに取り組みました。もともと地元の企業として、志摩で獲れるあおさを志摩で加工してちゃんと売りたい、という思いはあったんです。地元の商品の魅力をきちんと発信することが地産地消に繋がって地元のアピールにもなり、価値を生む…そんな意識が強くなっていきました。

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パッケージの裏表にも、あおさのPRポイントがぎっしり。

―知名度を上げた要因は何でしょう?

廣岡 まさに良質なあおさの力、です。あおさには、他の海藻類と比べても食物繊維やビタミン、ミネラルといった栄養成分がバランスよく豊富に含まれていて、近年の健康ブームにのって飛躍的に知名度が伸びました。さらにコレステロール値を低下させるラムナン硫酸という成分が多く含まれているということも発見され、美容食材としての注目も集まっています。

―ヘルシー志向の方に好まれているのですね!

廣岡 今では「海の野菜」と呼ばれるほど世の中に周知されるようになり、加工量もどんどん増えています。特に健康と美容に興味のある女性のお客様のリピート率が高く、栄養満点の伊勢志摩産「あおさ」の魅力が伝わっているのだとうれしく感じています。
今後は、地元の人たちにももっとアピールしていけるといいですね。地域の中の人の継続的な健康サポートができれば、より価値が高まって売り上げにも繋がり、地域全体で共有できると思うのです。

―どんな風に食べるのがおすすめですか?

廣岡 おみそ汁やお吸い物、酢の物の具材として使うのが一般的です。みそ汁であれば一人前約3g程度を水で戻し、でき上がる直前の汁に入れて少々煮立てれば完成します。あまり煮立てすぎるとあおさの風味や色味が悪くなるのでご注意ください。

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酢の物は、水で戻したあおさをギュッと絞り、
輪切りキュウリと一緒に三杯酢やポン酢、甘酢などとあえる。

―社長ご自身のお好みの食べ方はありますか?

廣岡 水で戻さず、冷奴のトッピングにするのが便利で、よくやります。豆腐にそのままたっぷりとのせてしょうゆをかけるだけ。これで充分おいしく食べられます。

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あおさをそのままトッピングするだけ。
薬味を切る手間もなく、包丁いらずで簡単。

―トッピングにすると、香りの良さがよりダイレクトに感じられますね!

廣岡 ひとつかみほどつまんで、うどんの中にドサッと入れてもおいしいですよ。海の香り豊かなあおさうどんが手軽に食べられて、おすすめです。

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シンプルなうどんにたっぷりトッピング。
麺にしっかりと絡んで、あおさのおいしさを実感!

―少し手をかけたい時のおすすめレシピは?

廣岡 あおさの天ぷらはいかがでしょう。乾燥したかたまりのまま天ぷら衣をつけて揚げれば、ボリュームのあるおかずが楽しめます。また、タコ焼きに入れたりお好み焼きに入れたり、粉もんに練り込むのもおいしいです。パン生地に練り込んだあおさパンを開発したベーカリーもあるんですよ。

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あおさ自体に厚みがあってバラけにくいので、ボリューム感のある天ぷらに。

―おいしそうですね!地元ならではの珍しい食べ方はありますか?

廣岡 珍しいところで言うと、ソフトクリームにあおさトッピング、とか(笑)。地元の高校生が開発したレシピなんですけど、意外とスイーツにも合うんだ~と、固定概念が覆されました。

―高校生が開発とは、すごいですね!

廣岡 じつは私が、市内の高校の評価委員を務めている関係で、高校生との交流のなかから生まれるアイデアもたくさんあるんです。

―評価委員とは?

廣岡 学校の教育方針や授業の進め方がぶれていないかを見守る、地域の大人の役割のようなものです。教員以外の地元の人間による、監査役といったところでしょうか。もともと知人がやっていたのを受け継いだのですが、生徒たちはもちろん、地域の行政や団体とも顔なじみになって繋がりをもつことで、個人としても企業人としても、お役に立てることがあるのではないかと考えています。

―地域貢献、ですね!

廣岡 高校のフィールドワークの授業をうちの社内で受けもったりもするので、地元の食材の魅力を伝えていくチャンスと捉えて頑張っています。私自身、いちど地元を離れたからこそこの地域の魅力に気づけたわけですが、次世代の若者にはできれば早いうちから郷土愛を育んでもらいたい。若いうちにこの社会に触れ合うことで、将来地元を離れることになっても出た先で地域の魅力を語ってくれたり、地元の良さに気づいて帰ってきてくれたり、地域愛の連鎖が期待できると思うんです。この地域の基幹産業は水産業ですから、衰退させないためにできることを、自分なりに続けていきたいですね。

―では、最後に今後のビジョンや展望をお聞かせください。

廣岡 あおさの新しい可能性を広げていくのが夢なんです。例えば今はあおさ単体で販売していますが、手軽なあおさ商品として、レトルト的なあおさみそ汁を販売したり、あおさの天ぷらキットを開発したり…。もっと身近になることで、あおさといえば伊勢志摩、伊勢志摩といえばあおさ、と地元の顔みたいになってくれることを期待する気持ちがあります。あおさで地元を盛り上げられたら、最高ですね。

―手軽なあおさ商品、待ち遠しいです!本日は貴重なお話をありがとうございました。

伊勢志摩産 あおさ

伊勢志摩産「あおさ」(20g)
価格:¥432(税込) ※インターネット特別価格
店名:カネウフーズ
電話:0599-44-5006(9:00~17:00)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://kaneufoods.co.jp/store/product/aosa20/
オンラインショップ:https://kaneufoods.co.jp/store/

※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。

<Guest’s profile>
廣岡辰一(カネウフーズ株式会社 代表取締役社長)

1982年三重県生まれ。社会人として4年の修業期間を経て、2005年にカネウフーズ株式会社へ入社。2021年に同社代表取締役社長に就任。市内の高等学校での評価委員も務める。

<文・撮影/亀田由美子 MC/木村沙織 画像協力/カネウフーズ>

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