今回、編集長アッキ―こと坂口明子が注目したのは、宮城県石巻市で誕生したオイスターパテ。濃厚な牡蠣のおいしさがぎゅぎゅっとつまり、パンにもラーメンにも合う濃厚な味わいが魅力的な逸品です。東日本大震災とコロナ禍を乗り越えて、水産加工会社が本気で作ったというパテについて、製造・販売元の株式会社ヤマナカ 代表取締役社長の千葉賢也氏に、取材陣が伺いました。
宮城県産の海と山の恵みをぎゅっと凝縮「オイスターパテ」
2024/11/15
―御社の沿革を教えてください。
千葉 2008年8月に創業しました。宮城県の主要名産品の一つであるホヤの出荷などを生業として立ち上げた会社です。スタートから順調に来ていましたが、3年目の終わりに東日本大震災が発生。稼働中止を余儀なくされました。工場を動かすことができず、片付けをしながら過ごす日々。周囲の状況もわかりませんでしたが、震災の翌月には、できる範囲で復旧稼働できたことは大きかったと思います。
震災後、徐々に養殖業が復活したときにもお客様がついてきてくださいました。その後は順調に売り上げも伸びて、今に至ります。ただ、近年でいうと、やはり新型コロナウイルス流行の影響はありました。
―どのように乗り越えたのでしょうか?
千葉 実はコロナ禍があったからこそ、パテを始めとするオイスター関連の加工商品が生まれました。コロナ禍に突入した当初、飲食店などは休業を余儀なくされ、私たちの販売先もなくなってしまったのです。「どうしよう」と考えた矢先に、一人ひとりのお客様に直接届けられる商品を作らなければと考え、誕生したのがオイスターパテです。
ここにたどり着くまでには、目の前が真っ暗になるような思いもありました。でも、私たちは東日本大震災を経験しています。当時、すべてが破壊されてしまったなかで、絶望に似た心境になりました。精神的に苦しかったのですが、それでも「前を向いていこう」と何とか気持ちを奮い立たせていきました。この経験があるからこそ、コロナ禍の厳しい状況でも「多少のことなら何でもできる」という前向きな気持ちで取り組めているのかなと思います。
海の美しい宮城県石巻市で誕生したオイスターパテ。
甘みたっぷりな宮城県産の牡蠣をふんだんに使用。
―オイスターパテのこだわりを教えてください。
千葉 コロナ禍で行き場を失ってしまった「大量の牡蠣を使う商品を作ろう」と考え、地元の飲食店さんと共同開発しました。味の細かい調整なども行なっており、完成までに半年以上かかった商品です。
こだわったのは、原材料が宮城県産であること。主原料となる牡蠣、風味付けのバター、香り付けのワインは、県内産です。加えて牡蠣は三陸の海で育った栄養豊富な牡蠣を大量に煮込んで、味を整えていきます。ここで登場するのがバジルとバター、そして白ワインです。蔵王山麓バターと秋保ワイナリーの白ワインを加えて、さらに煮込み、最終的になめらかに仕上げて出荷しています。
―味の特長は?
千葉 東北など、海に関わる場所で働いていたり暮らしていたりする私たちからすると、味は濃いめが基本だったりします。オイスターパテは口当たりは濃厚ですが、味自体は実はやや薄め。濃すぎないように調整をしているので食べやすいです。私自身、前職で関東や関西などによく行っていました。その土地のものを食べてきた経験がオイスターパテの味に活かされていると思います。
フランスパンやクラッカーとも相性抜群。
お酒のお供によく合うほか、小腹を満たすおやつにもおすすめ。
―おすすめの食べ方も教えてください。
千葉 やはりパンに塗って食べるのがおすすめです。基本的にパテは、冷たい状態で食べていただくことが多いと思っています。オイスターパテはバターをふんだんに使っておりますので、焼く前にパンに塗っていただくか、トーストなどで温めていただきますとバターがホロホロと溶けだし、風味がより濃く広がり、おいしいです。
変わり種では、インスタントラーメン。特に、塩ラーメンはおすすめです。できあがりに、スプーン1杯分を入れていただくだけで海鮮ラーメンに早変わりします。また、洋食系のメニューにもよく合うので、スパイス的に使って味変をお楽しみいただけたらいいかなと思います。ポテトサラダの味付けやハンバーグのソースなど、使い方もたくさんあるので、ぜひお好みのお召し上がり方を見つけてみていただきたいです。
贈り物にはギフトセットもぴったり。パテが塗りやすい金のバターナイフ付き。
―実際に味わったお客様の反応は?
千葉 自社も含め、いろいろな通信販売のプラットフォームで「本当においしい」というレビューを見るとうれしいです。お土産やギフトでも使えるようにしているのですが、お中元やお歳暮の時期には、何度もご利用いただくお客様もいらっしゃいます。一生懸命取り組んでいて、本当にやっていて良かったと思う瞬間です。
また、お客様の視点とは少し離れますが、うれしかったことはほかにもあります。オイスターパテの販売を始めて早い段階で、宮城県の水産加工品を集めた品評会「第45回宮城県水産加工品品評会」で、最高賞の農林水産大臣賞を受賞したことです。
さらにテレビ番組で取り扱っていただいたことも大きかったです。放送後は反響がものすごく、全国から注文をいただいたのですが、今も購入が続いているお客様も多くいらっしゃいます。おいしいものを作っていると知っていただいて、繰り返し買っていただけることは、一番の喜びです。その思いを忘れずに続けていきたいと思っています。
オイスターパテを含めた「本気でつくったシリーズ」は、海を近くに感じる逸品ばかり。
牡蠣やホタテのおいしさを再発見できる。
―今後の展望を教えてください。
千葉 オイスターパテなどの加工品を含めた「水産加工会社が本気を出してつくったシリーズ」は力を入れていきたいと考えています。「本気でつくったシリーズ」は、オイスターパテ、牡蠣グラタン、ホタテグラタン、ホタテチャウダーを展開しています。どの商品も非常に反響が大きいです。より多くの方にお召し上がりいただきたいので、取り扱う規模や販路も拡大していけるように整えています。
スピード感と地元還元は、私たちが大事にしている当社の信念です。私たちの生業は製造業、第2次産業です。生産者さん方がいないと成り立ちません。間接的なことかもしれませんが、生産者さんたちが養殖した牡蠣やホタテを使っておいしい加工商品を作る。それが全国に広がることで、新しい価値にもなるのかなと。今まで見えてこなかった「宮城県産の良さ」を、商品を通してお伝えできたらと思いますし、それを宮城県に還元することで地元貢献をしていきたいです。
―本日は貴重なお話をありがとうございました!
「OYSTER PATE(オイスターパテ)」(約120g)
価格:¥1,296(税込)
店名:YAMANAKA
電話:0225-24-3373(9:00~17:00)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://ec.oishi-yamanaka.com/products/%E3%82%AA%E3%82%A4%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%83%91%E3%83%86-%E5%8D%98%E5%93%81?pr_prod_strat=jac&pr_rec_id=092baffa8&pr_rec_pid=8392164507927&pr_ref_pid=8842873438487&pr_seq=uniform
オンラインショップ:https://ec.oishi-yamanaka.com/
※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。
<Guest’s profile>
千葉賢也(株式会社ヤマナカ 代表取締役社長)
1990年宮城県石巻市生まれ。大学卒業後、大手コンサルティング会社に従事した後、地元のヤマナカに入社。2020年に専務取締役に就任。従来のBtoB向け、原料供給型の製造販売に加え、BtoC向けの事業にも着手し展開。2023年4月から現職。
<文・撮影/青柳舞子 MC/高橋知 画像協力/ヤマナカ>