炊き立ての白ごはんは、心をときめかせてくれる存在。ですが様々な理由から、カロリーや糖質が気になり、思い切り楽しめないという方もいらっしゃるようです。今回、編集長アッキーこと坂口明子が気になったのは、白米100%でありながら、カロリーや糖質を抑えることに成功したという画期的なご飯「ロカゴ」。開発元の株式会社バイオテックジャパン 代表取締役社長の江川穰氏にお話を伺いました。

100%白米で、糖質・カロリーをカットした「ロカゴ」。レンジでチンの手軽さも嬉しいご飯!
2024/11/21

株式会社バイオテックジャパン 代表取締役社長の江川穰氏
―御社の沿革について教えてください。
江川 弊社は植物性乳酸菌を活用し、お米やパンなどの「低たんぱく食品」を開発・製造している企業で、1994年に私の父が創業しました。当時、会社を興そうと考えていた父は、まず兄、つまり私の伯父に相談をしました。伯父は新潟県食品研究所の研究員で、電子レンジでチンするパックご飯や切り餅の開発メンバーとして様々な特許を取っていたのです。その伯父から、「これまで自分は殺菌技術で長期保存を叶えるものを開発してきたが、今後は殺菌した上でも良い菌を残せるようなプラスの発想が求められるようになるのではないか。そのためにはおそらく乳酸菌がキーワードになってくる」というアドバイスを受け、バイオテックジャパンを創業しました。伯父の下で活躍していた研究員の方々もメンバーに加わり、力を貸してくれたと聞いています。そこから25年が経ち、2019年に父が代表取締役会長に、私が代表取締役社長に就任しました。

新潟県阿賀野市に本社を構える「株式会社バイオテックジャパン」。
―後を継ぐことはずっと考えておられたのですか?
江川 明確に意識したことはなかったのですが、高校や大学時代の夏休みには弊社でアルバイトをしており、気がつけば、という感じでしょうか。ちなみに現在は大型の機械が入ってお米のほぐしも自動になりましたが、当時は耐熱の手袋をつけて手作業で行っていました。
―貴重な経験をされたのですね。社長はどんな学生時代を過ごされていたのですか?
江川 学校のイベントで委員みたいなものには積極的なタイプでした。決して優等生ではなく、どちらかと言えば問題児系で、うまく輪に入れないこともあったのですが、そうした経験からいろんな人の気持ちもわかるようになり、今の立場にも役立っている気がします。
―社長は2016年から2年ほど、JICA(国際協力機構)の活動でフィリピンにもいらっしゃいましたね。
江川 フィリピンでは慢性の腎臓病患者が増加傾向にあり、私たちの活動は、低たんぱく米の開発技術を活かして課題に取り組む、というものでした。もともと海外展開を考えていた会長が、フィリピンに出張した先でフィリピン国立稲研究所の所長を経験した方と知り合い、そのご縁で共同研究を行う形になりました。

フィリピンで共に研究に打ち込んだ仲間のみなさんと(江川社長は左から2人目)。
―御社の概要について、もう少し詳しく聞かせてください。
江川 弊社の事業を簡単にご説明すると、菌を見つける、菌の特徴を知る、そして菌を組み合わせるという3ステップで説明できます。まず「菌を見つける」ですが、世の中、探せばどこにでも菌はいるのでとにかく採取しています(笑)。
例えば、野菜市場のようなところへ行って、リンゴやブドウを手に入れ、腐りかけたところで菌を採取して培養します。そこから乳酸菌だけを取り出して、発酵温度や発酵後のpHを見ていく。最近では、遺伝子解析装置などで以前よりも簡単に調べられるようになりましたが、培養して温度帯や発酵後の味や匂いを分けてやっていくことが基本です。ちなみにこの「菌の特徴を知る」ところまでは大学の農学部などでも行われていることだと思いますが、弊社ではそこから「菌を組み合わせる」ということを行なっており、それが大きな特長です。
菌は組み合わせが大事で、例えば動物性のヨーグルトには、味を作る菌、固める菌など最低でも2、3種類が入っており、単体ではヨーグルトになりません。またキムチや漬物などの菌は、漬けたての時はA株が多く、漬け込まれるにつれてB株が増え、さらにC株が増えるというように、発酵する段階でも菌が変わります。そうした菌の組み合わせや流れを見つけていくことが、この業界のノウハウ・経験と言われるもので、弊社が持っている組み合わせは弊社独自のもの。他社では真似ができません。
―その植物性乳酸菌の発酵技術を使って、糖質を大幅にカットできた白ご飯が、「ロカゴ」と「ロカゴハーフ」というわけですね。商品の特徴について教えてください。
江川 「ロカゴ」は白飯のみで糖質36%、カロリー34%のカットを実現した商品で、「ロカゴハーフ」はマンナンヒカリ(こんにゃく澱粉)を取り入れながら、糖質を50%、カロリーを50%カットした商品です。それぞれ2019年より発売となりましたが、「ロカゴ」は、白米100%の商品としては現在でも世界で唯一の商品です。

「ロカゴ」(手前)は、特許を取得した植物性乳酸菌の発酵技術で、糖質やカロリーを大幅にカット。
―糖質オフと言えば、麦などがブレンドされている印象でした。どのような仕組みなのですか?
江川 植物性乳酸菌は、発酵することにより糖質を抑えることができる性質を持っています。さらにお米の表面をコーティングして、吸水させた水を逃さない能力も持っており、それらを活用してご飯の味や食感はそのままに、糖質やカロリーが抑えられる米飯が生まれました。最初は他社から依頼を受けて低カロリー系のPB商品を製造・販売していましたが、そのうち糖質カット系の商品も世の中に増えるようになり、それならカロリーと糖質を同時に抑える商品を作れる弊社からもオリジナルで「ロカゴ」を打ち出そう、という形です。時代が追いついてきたタイミングでマーケットインさせたというような流れですね。
―お米はどんなものを使っているのですか?
江川 低糖質加工に合う品種の米を選定しています。安定調達できるということも重要です。

さまざまな種類の米を比較し、好適米を取り入れている。
―どんな方に手に取っていただきたいですか?
江川 しっかり食事を摂りつつ糖質を管理したい方、血糖値が高い方、食事指導されている方にもおすすめしたいですね。ただ弊社の販売サイトによると、意外にも40代の女性が購入者の一番のボリュームゾーンとなっており、ダイエットや健康意識の高い方に選んでいただいているのではないかと思います。
―お客様からの反響で印象に残っているものは?
江川 普通のご飯のように味わえるのに糖質がカットされていてありがたいとか、これなら続けられそうだといったご意見ですね。女性向けにデザインしたパッケージを気に入ってくださっている方もいらっしゃいます。
お米は日本の食に欠かせないもので、だからこそ皆さん味に非常に敏感です。私たちも日々試行錯誤し、よりおいしいものをと改善に努めていますが、「前の方が良かった」というご意見をいただくこともあり、人それぞれに正解があるのだな、と驚かされています(笑)。また白飯は、おかずほど「これ食べたい」「あれ食べたい」と指名されるほど派手な存在ではありませんが、献立に欠かせない“主食”であり、そこに健康というキーワードを上乗せできるところが弊社の強みだと思っています。

グリーンとピンクカラーが気分を上げてくれるパッケージ。
―最後に今後の取り組みや目標についても聞かせてください。
江川 社員に伝えていることは、お客様の食事療法のパートナーになりましょう、ということです。今後も商品のブラッシュアップを行っていくとともに、他の食事制限がある方に向けた製品の開発・展開も進めたいと考えています。またメーカーとして、商品を作って終わりではなく、献立の提案なども積極的に。現在弊社では、低たんぱく質、低糖質とそれぞれでSNSを立ち上げ、4人の管理栄養士が商品のご紹介とともに、お客様に有益な情報を発信しています。最近はお客様から質問もいただくようになりましたので、今後もコミュニケーションを図りながら、みなさまに日々の食を楽しんでいただけるサポートができたらと思います。

「ロカゴ」を使った献立の提案のひとつ、「えびレタスチャーハン」。
―「HPでは、白飯タイプの『ロカゴ』『ロカゴハーフ』ほか、同じく低糖質で『玄米ごはん』や『麦ごはん』なども販売しています。バリエーションを楽しみたい方はぜひこちらもチェックしてみてください」と、江川社長。お話をありがとうございました!

「ロカゴ」(150g×30個)
価格:¥4,795(税込)
店名:越後くらぶ
電話:0250-63-1555(9:00〜17:00 土日祝日除く)
定休日:土日祝日、年末年始(インターネットでのご注文は24時間365日受付)
商品URL:https://btjshop.jp/Form/Product/ProductDetail.aspx?shop=0&pid=00069
オンラインショップ:https://btjshop.jp

「ロカゴハーフ」(150g×30個)
価格:¥5,832(税込)
店名:越後くらぶ
電話:0250-63-1555(9:00〜17:00 土日祝日除く)
定休日:土日祝日、年末年始(インターネットでのご注文は24時間365日受付)
商品URL:https://btjshop.jp/Form/Product/ProductDetail.aspx?shop=0&pid=00071
オンラインショップ:https://btjshop.jp
※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。
<Guest’s profile>
江川穣(株式会社バイオテックジャパン 代表取締役社長)
1984年、新潟県生まれ。2019年に代表取締役社長に就任。
<文・撮影/鹿田吏子 MC/伊藤マヤ 画像協力/バイオテックジャパン>