今回編集長のアッキ―こと坂口明子は「主要産地の生産者ごとに味比べ」という、とても珍しくぜいたくなうなぎの蒲焼に注目しました。発売するのはHACCPの生産管理を業界で最初に導入し、安心安全への配慮に余念がない専門メーカー。株式会社カネナカ・代表取締役社長の中村貴洋氏に、原料や商品へのこだわりなどのお話を取材陣がうかがいました。
名産地・愛知の老舗メーカー発、豪華企画のうなぎ蒲焼「【生産者】の食べ比べ 金セット」
2024/11/21
株式会社カネナカ 代表取締役社長の中村貴洋氏
―学生時代から会社を継ぐと決めていましたか?
中村 いえ、大学時代に4年間オーストラリアに留学していましたので、当初はそちらで就職できればと考えていました。ですが徐々に心のどこかで「このままだと跡継ぎは誰がするのか」などと考えるようになりました。
その後はうなぎのことが全然分からないのに、父に中国や台湾の産地に連れていかれていました。
小さい頃から親の背中を見て育ちましたから、間にいろいろあっても結局は「家を手伝いたい」と、大学を出て家業に入ることになりました。
―貴社の創業時の歩みをお聞かせください。
中村 浜名湖にいた養鰻家ののれん分けで1900年、初代がここ豊橋に移って操業し始めたのが弊社の発祥です。当時、目前の三河湾に堤防ができ、埋立地で干拓事業が行われていました。元祖の浜名湖に近いこともあり、うなぎ養殖に環境・立地的に適しているとして、地域的に盛んになったのです。
弊社はのちに工場を構え、台湾や韓国をはじめ海外との取引を始めるなどして事業を拡大していきました。
旨さの違いを楽しむぜいたくを味わって!
―うなぎは原料の産地など仕入れが重要とお聞きしました。
中村 そうですね、私たちも仕入れ面ではいろいろと苦労して今にたどり着きました。2000年頃に産地に関してのルール改正が行われ、それ以前の産地は「最終的に加工した地」だったのに、改正後はどこで加工しても「原料の原産地」に変更になっています。
この頃の中国産は他の商材でも消費者に敬遠されていたので、「中国産原料は使えない」と国内での調達を模索することになりました。
以前は自分の納得がいく素材がなかなか巡り会えなかったのですが、現在は運命的にも秀逸素材とめぐりあうことができたのです。
実は2005年に新工場を建てたときに、トレーサビリティという管理をいち早く取り入れていました。生産者が誰か分かるシステムですから、「とてもいい魚があるな」と思ってロット番号からたどってみると、それが長坂養鰻場さんだったのです。
そこからいいお付き合いが始まって、良質な原料を調達できるようになり今の安定仕入れにつながっています。
国内の有力養鰻場と契約して厳選素材を仕入れている。
―生産面にも特別な配慮がうかがえますね。
中村 はい、新工場を建てる2005年頃は「安心安全」をスーパーはじめ小売業界から強く求められていた時代です。それと並行して業界では、大型工場が鹿児島にいくつも完成し、大手量販店の顧客をそちらに奪われた経験があります。
これは死活問題だと思い、衛生面を強化するために生産工程を管理する「HACCP認定工場」にしようと、すでに導入しているハムメーカーに見学させてもらったりして取り入れました。
それからは衛生・安全面で他社をリードすることになり、現在ではHACCPの中でも難易度の高いFDAという、アメリカに輸出できる承認も持っています。
業界で最初にHACCP認定工場を取得。安心安全な商品を生産している。
―今回の商品を発売した背景は?
中村 売り上げが伸びて物量が増えていくにつれて長坂養殖場さん1社の負担が大きくなったので、同社主導で宮崎や熊本など他地域の養殖場をご紹介いただきました。
「あの長坂さんが太鼓判を押しているから間違いないだろう」と、新たに全国各地からの仕入れがスタートしたプロセスがあります。
これだけ多くの産地を採用しているのは私たちぐらいでしょうし、「せっかくだから消費者の方に食べ比べを提案してみよう」と思い、今回の企画が始まりました。
―産地によって味に違いはあるのでしょうか?
中村 はい、もちろん違います。産地や生産者によって育ち方が違うため、焼き方を微妙に変えています。たとえば原料うなぎの餌の中に「魚油」という脂分を入れますが、生産者によってそのパーセンテージが違うので脂量にも個体差があります。
そうした条件に合わせて焼き方を調整しているため、生産者によって完成した蒲焼に出る違いを楽しんでいただくのが今回の企画の醍醐味です。
季節や気温によって加熱の調節をし、温度管理を徹底。
―タレにもこだわりが?
中村 はい、かつてはいろんなメーカーのタレを使っていたのですが、専門店の味にちなんで、しょう油、みりん、砂糖といったシンプルな構成を目指して自社で開発しました。
ベースのしょう油には愛知の食文化のたまり醤油を使用。発酵調味料は舌がピリピリすることがあるので少なくし、逆に本みりんを入れてマイルドに仕上げました。全国のどなたが食べてもおいしいオリジナルブレンドを提供しています。
―今後の展望をお聞かせください。
中村 私が留学していた経験もあり、十数年前から世界各地の展示会でメイドインジャパンのうなぎを宣伝してきました。
品質も栄養バランスもいい日本食には大きなチャンスがあります。インバウンドで海外の方がたくさん訪れ、いろんなおいしい物を食する今こそ、日本の食文化を世界に向けて広げていきたいと思います。
―本日はありがとうございました。
「【生産者】の食べ比べ 金セット」うなぎ長蒲焼(119g~134g)×3尾、蒲焼たれ(たれ10ml+山椒0.2g)×6個
価格:¥9,180(税込)
店名:蒲焼本舗
電話:053-234-0730(9:00~15:00)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://item.rakuten.co.jp/kabayakihonpo/com-63/
オンラインショップ:https://www.rakuten.ne.jp/gold/kabayakihonpo/
※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。
<文/田中省二 MC/伊藤マヤ 画像協力/カネナカ>