今回編集長のアッキ―こと坂口明子が注目したのは、兵庫県丹波市にある地域密着型のメーカー、丹波乳業株式会社が作る「飲むヨーグルト」。同社の乳製品は地元の酪農家からとれたて生乳を毎日集めて製造されるため、学校給食にも提供されるほどカラダに優しく安全な製品ばかりです。
農協から事業を引き継いで地域振興に貢献する代表取締役の吉田拓洋氏に、会社の成り立ちや商品について取材陣がインタビューしました。
酪農の町、丹波のフレッシュな牛乳でできた大人気の飲むヨーグルト「のんじゃえ丹波」
2024/11/22
丹波乳業株式会社 代表取締役の吉田拓洋氏
―はじめに貴社の歩みをお聞かせください。
吉田 弊社は兵庫丹但酪農農業協同組合の「氷上牛乳センター」という組織が前身になります。同組織は昭和中期に農協主導で操業をスタートした牛乳工場で、酪農家自身が運営して商品を製造していました。
しかし時代とともに担い手の高齢化と後継者不足が進み、さらに衛生管理の基準が厳しくなったことも大きなハードルとなりました。それによる機械導入の再投資が難しくなった農家も増えたため、約10年前には組織を解散する方向に向かっていったのです。
当時「組合の事業でなく完全に1つの法人にしたらどうか」という提案を理事会に提出したところ、「それはいいね、でも誰がやるの」という流れとなり、言い出しの私が代表に選ばれました。そして2014年に現在の会社が設立したという経緯です。
豊かな自然の中の牧場。とれたて新鮮な生乳を使用して生産している。
―吉田代表の酪農に関するご経歴は?
吉田 北海道で畜産系の大学を出たあと酪農にすぐには向かわず、しばらく北海道の馬牧場で働いていました。
大学の専門は牛の研究だったのですが、そこにたまたま馬がいて世話をしているうちに熱中し、卒論テーマも馬になったほどです(笑)。それが高じて浦河町で競争馬の世話をする仕事をしていました。
生乳88%の濃厚な飲むヨーグルト。生の牛乳から製造しているのが差別化ポイント。
―兵庫県丹波市に来られたきっかけを教えてください。
吉田 馬飼育の仕事は30歳を過ぎると体力的にも難しくなり、それでも動物に関わる仕事はしたかったので改めて酪農業を模索するようになりました。
私の地元は兵庫県三田市で、母の実家がここ丹波市で20年以上前からずっと空き家になっていました。こちらの酪農家が地元の子供たちに牛乳を提供して育てている取り組みを知り、すごく素敵だと思ったので新規就農で移住を決断しました。
たくさん飲む方や業務用に大容量も販売中。
―低温殺菌牛乳に力を入れられていますね?
吉田 はい。市場に出回る牛乳は大量生産できるメリットがあるため超高温殺菌がほとんどですが、弊社は低温殺菌牛乳も製造しています。65℃で30分間加熱する手間をかけることで、牛乳本来の持つおいしさを壊さないメリットがあります。
特に「氷上低温殺菌牛乳」は生乳中の脂肪分を細かく分散するための「ホモゲナイズ処理」をしていないため、臭みがなく自然な甘みが感じられます。
良質な牛乳を作っているのでヨーグルトもおいしいものができると自負しています。
―今回ご紹介の「のんじゃえ丹波」の特徴を教えてください。
吉田 前身の氷上牛乳センター時代から存在するロングセラー商品ですが、発売時の話はいろいろと聞いています。まだ飲むヨーグルトが市場で出回っていない頃に製品化して販売したところ、爆発的に売れたそうです。
商品の特徴は「牛乳の味がそのまま残っているヨーグルト」という表現に行き着きます。どういうことかというと、牛乳を殺菌して乳酸菌入れて発酵させ、ある程度固まったものをグルグルかき混ぜてトロトロにした、極端にいうとそれだけなのです。
一般的には牛乳ではなく“脱脂粉乳”を水で溶かして、その中に培養した乳酸菌を入れているケースが多く、同じ「発酵乳」というくくりになっています。が、原料は弊社のほうは88%牛乳ですから、分類上は同じでも内容が違うのです。
ちなみにネーミングは事業を引き継いだときに命令口調にも感じられるので「変えようか」とも検討しましたが、インパクトが大きいのと長年親しまれてきたのでそのまま継続しています。
搾りたての新鮮な牛乳を感じられるヨーグルト。飲むと身体が喜んでいる気がします。
―セットでご紹介する、昨年発売の新商品「スッキリのんじゃえ丹波」の特徴は?
吉田 定番の人気商品にバリエーションを加えいと考えた際、「BB12」というビフィズス菌に着目しました。
健康志向が叫ばれる中、高齢者をはじめ便秘で悩む方も多いので、朝や昼ご飯のあとに少し飲んでお腹の調子を整えるためにもと開発しました。
飲み口もスッキリしているため、「口当たりもお腹の調子もスッキリ」という両方の意味が込められています。
生乳91%をぜいたくに使用した2023年発売の新商品。ミルキーさがあふれる味わいです。
―今後の目標やPRをお聞かせください。
吉田 ここ丹波市は朝晩の気温差が大きいのでいい野菜が育ちますし、お米もとてもおいしいです。それにはサンショウウオが生息するほどの水質の良さも深く寄与しているのでしょう。乳牛は1日100リットルの水を飲むので、いい水から良質な牛乳が出てきます。
もっと多くの人にこの町を知ってほしいですね。観光の中で農業体験もありますので、ここでとれるおいしいものを当地で味わっていただき「自分も作りたい、ここでおいしいものを食べながら生活がしたい」と思ってもらえるとうれしい限りです。
経営目標は一度傾いた事業を引き継いだ経験があるだけに、今ある状態を当たり前と思わずに感謝して、長く継続していけるよう頑張っていきたいと思います。
―本日は素敵なお話をありがとうございました。
「のんじゃえ丹波2種 飲みくらべセット」(のんじゃえ丹波150ml×6本、スッキリのんじゃえ丹波BB-12 150ml×6本)
価格:¥2,052(税込)
店名:丹波乳業オンラインショップ
電話:0795-82-6324(9:00~17:00 土日祝日除く)
お問合せメールアドレス:info@tambamilk.jp
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://www.tambamilk-shop.jp/SHOP/home_nonjae_sukkiri_12.html
オンラインショップ:https://www.tambamilk-shop.jp/
※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。
<文・撮影/田中省二 MC/三好彩子 画像協力/丹波乳業>