うどん好きにとってはずせないのが讃岐うどん。本場香川県まで食べに行く人も多く、高松にある「うどん本陣 山田家」では1日3,000~4,000人が行列をつくるといわれます。そんな名店の打ちたて、ゆがきたてのおいしさを家庭でも楽しめると聞き、アッキーこと坂口明子編集長も気になって仕方ありません。コシ、だし、具材、容器、すべてにこだわった冷凍讃岐うどんについて、製造販売する株式会社山田家物流 代表取締役の山田康介氏に取材陣がお話をうかがいました。
行列ができる名店の味をお家で手軽に!本場讃岐「うどん本陣山田家」の冷凍うどん
2024/11/26
株式会社山田家物流 代表取締役の山田康介氏
―もともとうどんのお店がおありで、そこからのスタートなのですね?
山田 高松に「うどん本陣 山田家」があり、飲食店から始まり、お土産やギフトに特化した会社として、2002年にできたのが弊社です。香川県にはいろいろな製麺メーカーがありますが、飲食店から始まった製麺メーカーというのは讃岐でも珍しいと思います。
―高松の山田家さんといえば有名ですね。
山田 1日3,000~4,000人は来られていて、行列ができる店として知っていただいているようです。手土産のうどんも全国で売れるようになっていったので、営業活動に注力するために製麺部とともに分社化しました。お取り寄せ需要がどんどん高まり、近年はギフトのほうにシフトしています。
敷地約800坪という「うどん本陣 山田家」讃岐本店。
全国から多くの人が訪れ、常に行列が。
―そこから冷凍うどんの開発が進んで?
山田 県外の人に讃岐うどんをよりわかりやすく伝える方法は何だろうと会長と話し、麺も粉の開発から始まりました。次にだしにこだわろうと決め、ひと口でおいしいと思える、お店の味に近いだしの開発から始めました。そこから他のうどん屋さんとギフトや土産物の差別化ができるようになったんです。冷凍うどんが販売ベースに乗ってくると、次に冷凍だからできることは何かとなり、天ぷらうどんやきつねうどんの具材を冷凍してセットで売ることに。
するとそれが売れるようになり、百貨店等に納めてさらに広がりました。そして、もっと安心安全なものは何かと、お店の味をそのまま冷凍する方法を考えて個食鍋が生まれました。大手百貨店のカタログに掲載されたところ大ヒットしすぎて、当時社員の休みがなくなる事態にもなったほどです。
―コロナ禍でも変化があったのでは?
山田 お客様が香川県に来られないので、個食鍋が爆発的に売れました。300%くらい。コロナの間、営業活動も活発にできなくなり開発に携わる時間が十分に取れたので、火を使うのが難しい高齢の方のために、電子レンジで調理できる冷凍うどんを開発して、実用新案を取得しました。それがレンジ対応個食鍋です。コロナ禍の時期に、それまでの安売り的なイメージもあった冷凍食品が見直され、冷蔵よりこだわりの強い安全なものとして評価が上がり、全国的に冷食需要が高まったこともあって、冷凍うどんの売れ行きも伸びました。ちょうどその時期に商品は包装からリニューアルし、時代の波にも乗り一気に販路が拡大しました。
電子レンジで手軽に、しかも安全に作れる個食鍋。
高齢の方にも大好評。
―そもそも冷凍讃岐うどんはいつできたのですか?
山田 香川県はよく渇水が起きる土地なのですが、ほんとうに水がなくて困ったのは、私が高校の頃です。夜9時くらいになったら水道が使えなくて、みんなお風呂に水を貯めて過ごすという時があったのですが、その時に香川県じゅうのうどん屋さんが店を閉めたんです。うどんを作るのに水をたくさん使いますからね。
うちは井戸水を使っていたので閉める必要はなかったそうなのですが、他のお店が閉まっているのに開けるのは忍びないということで、うちも1か月ほど閉めたことがありました。うちの父(現会長)は転んでもただでは起きないタイプなので、やれることをやろうと言って冷凍うどんの開発を始めたわけです。
―それが始まりなのですね。
山田 具材付きのものも開発して、最初は種類も多くないし、売れてるかな、程度だったのですが、私が戻ってきたのと同時くらいにいろんなものを開発しようということになり、商品の精度を上げる研究も繰り返してきました。それが今回ご紹介する個包装タイプの原型で、今の形になるまでに会長と何度も喧嘩しながら進めてきました。
具材がセットされた冷凍うどん。
個包装タイプのカレーうどん。
―会社として会長やご自身が大切にされていることは?
山田 会長がよく言うのは「おいしいものを一生懸命作ればいい、お客様は勝手にあとからついてきてくれる。何が成功するかわからない。失敗してもいいからたくさんチャレンジしろ」といったことですね。ですから、商品のこだわりがすべて。妥協したものは商品として出さないので、開発に2、3年はざらにかかっています。信頼というものはティッシュペーパーを積み重ねていくようなものだ。信頼を裏切れば風が吹く、つまり一度の失敗があれば全部吹き飛んでしまうという話は、子どもの頃から聞かされていました。
―入社される前は輸入車ディーラーで営業をされていたとか。
山田 就職活動で話を聞くと、入社して3年間は勉強の期間でその後仕事を任される、と。でもそれでは、自分の力でご飯を食べられるようになるかわかるのに7、8年はかかります。私は大学を卒業して3年以内に帰って来いと言われていましたから、結果がすぐにわかる会社は何かと考えると、歩合制の会社だった。でも、歩合制の会社で新卒を採るなんてあまりない。それで思いついたのが自動車屋さんでした。無事入社でき、先輩に1年で平均何台売るのか聞いて、その3年分を売り切ったら社会人として一人前だと思って目標にしたのですが、それなりに頑張って2年で達成して帰ってきました。思い返すと、配属先の上司や先輩に恵まれただけだったので、挫折を知らずに帰ってきてしまいました。ちょっと後悔しています。
―会長は喜ばれたでしょうね。
山田 うどん屋さんは1代で終わるところがほとんどで、子どもたちが継ぐのは少ないと言われていますね。今香川県で流行っているお店でも、他のうどん屋さんが看板をそのまま買収して営業している会社もたくさんあります。そういうことを聞くと、私たち兄弟が継ぎ、孫たちも継ぎたいと言ってくれるのは、父も私もよかったなと思いますね。子どもの頃は毎日のおやつがうどんで、正直うどん嫌いになっていましたが、大学や就職で離れていた時に、よそのうどんを食べてみるとおいしくない。父が作っているうちのうどんがおいしいなと気づきました。
あの讃岐うどんのぶっかけがお家で食べられる!
日常食やおもてなしにも。
―商品のこだわりについて教えてください。
山田 麺は福岡産の小麦粉を使用していて、農業試験場で開発中から注目していた小麦を、製粉会社と共同開発して使っています。さらに、どこまで麦を削るか、精麦歩合を指定・調整して使用しています。製麺機については、私の思いを入れた機械をメーカーに開発してもらいました。つゆも、昆布の旨味を活かすものは、昆布の扱いに長けた北海道の出汁メーカーと、薄口醤油の旨味を引き出すものは、京都の出汁メーカーと共同開発しています。もちろん、どちらも本店の味の再現をテーマに開発してもらっています。
―種類について教えてください。
山田 カレーは北海道のメーカーとスープカレーをヒントに、スパイスメーカーとも共同で2年がかりで開発しました。牛すじの臭みを取るために2時間かけてあくぬきもします。うどんすきは、店でも4,000円近くする人気のうどんすきを、もっと手軽に味わえないかということで作りました。すき焼きうどんは肉うどんのことで、味付けした肉が入っています。肉のカットの厚さをミリ単位で調整し秘伝のたれで味付けをしています。きつねうどんは10センチ×11センチという特注の大きなおあげ入り。天ぷらうどんも海産物の取り扱いが上手な仕入れ先に協力してもらって、海老の天ぷらを特別に揚げてもらっています。それを2尾。
コクと深みのある辛さ。肉もたっぷり。
こだわりの海老が2尾!食べごたえのある海老天ぷらうどん。
特注という大きなおあげがうれしいきつねうどん。
―個食鍋はこの容器だから電子レンジで簡単においしく作れるとか。
山田 試作では電子レンジでチンした後に熱くて持てなかったり曲がったりしたのを、容器メーカーに依頼して、お年寄りや子どもが持っても安全性が高くて断熱性のあるものを開発してもらいました。ふたは中身が見えて、しかも割れないものを探していて、タピオカジュースをヒントにトップシールにすればいいのではと思いつき、シールメーカーにフィルムを作ってもらいました。隙間なく密着し異物が入ることはありません。保温性が有り購入したあとでもすぐに解凍しないので、百貨店で販売してもよく売れます。
豪華なうどんすきを個食鍋に。
しっかりとした具材でまさにお鍋気分。熱くなりすぎない容器もポイント。
―お客様からの反応で印象的なものは?
山田 お中元やお歳暮のお届け先からお電話をいただいたり、百貨店のバイヤーさんが実家に送られていたりというのがあって、それは特にうれしいことですね。
―どのような方に食べていただきたいですか?
山田 本音としては高松まで来て食べていただきたいのですが、なかなか難しい方もいらっしゃいますから、ご自宅で山田家を感じたいと思っておられる方に食べて本店を思い浮かべていただけたらなと思います。讃岐うどんは1杯100円台のセルフが急激に増え大衆化してしまいましたが、かつては田植えや収穫が終わった日など、ハレの日に振る舞い食べるめでたい食べ物でした。香川県で生まれた自分たちのうどんにもっと誇りとこだわりを持って広めていきたいと思います。
―今後の展望は?
山田 どの商品ももっとクオリティを上げていきたいと思っています。ハレの日の食べ物として感じていただきたいと思いながら開発を続けていますし、日本全国の方々に気軽に楽しんでいただけるように取引先も増えています。貿易の壁もありますが、海外でも販売を始めています。シンガポールではすでに出していて、今後、香港、台湾、韓国、カナダも考えています。パスタのように世界中で山田家のうどんが食べられるようにしたいなと思います。
―こだわりの数々をお聞かせいただき、ありがとうございました。
「冷凍讃岐うどん 4種の味の詰合せ 個包装タイプ [5人前]」
価格:¥3,240
店名:うどん本陣山田家
電話:0120-06-0037(9:00~17:00 土・日・祝日・年末年始除く)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://item.rakuten.co.jp/yamada-ya/r-5/
オンラインショップURL:https://www.rakuten.co.jp/yamada-ya/
「冷凍讃岐うどん 個食鍋5種セット」
価格:¥5,400
店名:うどん本陣山田家
電話:0120-06-0037(9:00~17:00 土・日・祝日・年末年始除く)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://item.rakuten.co.jp/yamada-ya/n-5/
オンラインショップURL:https://www.rakuten.co.jp/yamada-ya/
※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。
<Guest’s profile>
山田康介(株式会社山田家物流 代表取締役)
1978年香川県生まれ。学生時代は柔道に打ち込み、同志社大学卒業後、輸入車ディーラーで営業を学ぶ。2003年、株式会社山田家物流に入社。工場長を経て2012年に代表取締役に就任。純生うどんやレンジ対応個食鍋等の新商品開発を手がける。
<文・撮影/大喜多明子 MC/木村彩織 画像協力/山田家物流>