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「うまくて、おもろいものを作りたい」大阪人の和菓子屋社長が本気で作った土産菓子「たこやん」とは

2024/11/26

西日本を代表する都市・大阪。多数の観光スポットや名物があり、定番から新作まで、数え切れないほどのお土産が並びます。
そんな中で、おいしさと大阪らしさに本気でこだわったお土産があると聞きました。見た目は誰もが知っている大阪名物、しかし、一口食べてみると……。

今回、編集長のアッキーが注目したのは、見た目と味のギャップに頭の中が混乱しそうなこの商品「たこやん」。作っているのは、大阪にある和菓子屋です。なぜここまで本気を出して土産菓子を作ったのか、取材陣が和菓子を製造する株式会社三和山本 代表取締役山本修史氏に話を伺いました。

株式会社三和山本 代表取締役 山本修史氏
株式会社三和山本 代表取締役 山本修史氏

―会社の沿革や、社長になった経緯を教えてください。

山本 もともと当社は、祖父が奈良県で大仏観光客向けに和菓子屋を創業したのがきっかけです。その後、1970年の大阪万博をきっかけに、分社化して大阪に工場を出し、大阪への観光客向けに、キヨスクで土産菓子のまんじゅうや餅菓子を販売したことで、急成長しました。子供の頃は、工場に覗きにいくと、まんじゅうの甘い香りがただよい、従業員の方から焼きたてをお裾分けしてもらった記憶があります。

学生時代の私は、大学では将来に役立つと思って経済学を学んでいたものの、当時は会社を引き継ぐことまでは考えていませんでした。卒業間近になって就職先を考え始めたときに、父から会社を引き継いでほしいとの話があり、大学卒業後に専門学校に入り直しました。専門学校では、菓子作りの基礎から応用まで広く学びました。和菓子だけでなく、洋菓子まで勉強できたのは、その後の商品づくりに役立っています。

専門学校を卒業後、株式会社三和山本に従業員として入社し、製造部門を中心に、社内の仕事をひととおり経験しました。そして、29歳のときに代表取締役社長に就任し、現在に至ります。

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大阪にある自社工場で開発から製造まで手がけている、数少ない和菓子屋。

―20代で社長に就任されたのですね。

山本 もちろん不安もありました。それまでは製造部門を中心に携わっていましたが、社長になると、人事や資金繰りまで考える必要があります。入社してから、いつかはやらなければいけないと覚悟はしていたものの、すぐにさまざまな場面に対応できるのか不安はありました。また、大企業と違って、限られた人数でできることをやらなければいけません。そのため、ヒットにつながる商品を生み出すのには苦労しました。そういった中で、「たこやん」は私たちにとって大きなヒット商品なんです。

―今回ご紹介いただく商品ですね!ヒットにつながるのは難しいとのことですが、「たこやん」はどういったきっかけで生まれたのでしょうか?

山本 「たこやん」が生まれたきっかけは、1970年の万博期に遡ります。当時の大阪土産といえば、豊臣秀吉の五三桐をかたどったまんじゅうや、蒸しケーキ、おこしなどが中心でした。そんな中、あるメーカーがお好み焼きせんべいを発売してヒットさせたんです。ただ、その会社は大阪以外の企業だったので、我々大阪にある会社としては、ちょっとした衝撃でした。他社のヒットをきっかけに、大阪が観光客からどう見られているのか、なぜ私たち大阪人が思いつかなかったのかと気づかされたのです。そこから、大阪の企業でもお好み焼きやたこ焼き味のお菓子が作られるようになり、私たちも同じように、大阪人らしい土産菓子を作りたいと考えるようになりました。

ひらめいたのは、まんじゅうの製造ラインをたまたま眺めていたときでした。いつもはプレスしているまんじゅうを、潰さずに焼いたら、たこ焼きのようになるのではないかと思いついたんです。そこで、試しに包んだまんじゅうを潰さずに焼き、栗まんじゅうをヒントにして表面に黄身を塗って焼いてみました。そしたら、まるでたこ焼きのような見た目になったんです。

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「たこやん」誕生は、社長のあるひらめきがきっかけ。

―面白いひらめきですね。和菓子屋がたこ焼きを再現するためにこだわったポイントはありますか?

山本 見た目はたこ焼きそのもの、しかし中身は和菓子らしいおいしさにこだわりました。中の白あんには、バターとミルクの配合を増やし、しっとりとした食感に仕上げています。見た目で苦労したのは、青のりをどうやって再現するかでした。最初に本物の青のりを使ったら、香りが強すぎてしまって、和菓子っぽくなくなってしまったんです。どうしたら和菓子の味を邪魔しない食感になるのか、いろいろ試行錯誤した結果、氷餅(こおりもち)と呼ばれる、餅を凍らせて乾燥させたものを使いました。氷餅は和菓子に合うだけでなく、ぽろぽろとしたフレーク状にして表面に散らすと、本当に青のりのように見えるんです。

もうひとつ難しかったのは、パッケージやデザインです。ただのたこ焼きまんじゅうではシンプルで面白くない。どういうコンセプトやネーミングで売るのか、どんなパッケージならお客様の興味を惹きつけるのか、発売するまでかなり悩みました。

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パッケージのリーフレットには、青のり部分の丁寧な注意書きが添えられている。

―仰るとおり、パッケージでは和菓子とは想像がつきませんでした。ここまでやろうと思ったのはなぜでしょうか?

山本 大阪らしいお土産を作りたかったからです。和菓子屋としておいしいのが前提の上で、面白くなければ大阪土産じゃないと思っています。「たこやん」があるだけでネタになりますよね。実際に、袋を開けて皿に並べておいたら、まんうじゅうと気づかずに食べた方が「たこ焼きちゃうやん!」と突っ込まれたという方や、「お土産にすると必ず話題になるから」とリピートしてくださる方もいらっしゃいます。そのくらい、たこ焼きっぽい見た目とパッケージ、そして食べたときのギャップにこだわりました。たこ焼き風味のお土産は、今となってはすっかりありふれていますが、ここまで見た目にこだわったお菓子はありません。ふざけた商品に見えるかもしれませんが、見た目と味にギャップのある、大阪らしい土産菓子だと自負しています。

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本物のたこ焼きのような見た目だが、食べるとミルク餡のしっとりとした食感と甘みがする。
お茶だけでなくコーヒーにもよく合う味。

―たしかに大阪らしいお土産ですよね。最後に、今後の展望や読者へメッセージなどがあればお聞かせください。

山本 大阪に工場を構える和菓子屋として、これからも観光客の方に喜んでいただける土産菓子を作っていきたいです。人口流動の多い駅のキヨスクは、私たちにとって、いわば檜舞台。たくさんの方々が行き交う場所で「うまい、おもろい」と言っていただける菓子づくりを目指しています。大阪にお越しの際は、ぜひ駅で「たこやん」を探してみてください。
さらに、2016年から「たこやん」の他にも「和-水都饌菓(わ-すいとせんか)」という生菓子ブランドを立ち上げました。「水都」とは、水運で発展した大阪に由来しています。こちらは伝統的な和菓子の製法とフルーツなど新鮮な食材を組み合わせた菓子を作り、大阪の直営店で販売しています。「たこやん」とは一味違ったこだわりを持って作っておりますので、ぜひどちらも試していただきたいです。

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フレッシュな生菓子が中心の「和-水都撰菓」は、おもたせやご褒美スイーツとして好評。

―どちらも魅力的で気になります!素敵なお話をありがとうございました!

【大阪名物】たこやん 10個入り

「【大阪名物】たこやん 10個入り」
価格:¥799(税込)
店名:大阪 お土産 たこやん本舗
電話:06-6384-3981(9:00~17:00 土日祝日除く)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:http://www.takoyan.net/item/40/
オンラインショップ:http://www.takoyan.net/

※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。

<Guest’s profile>
山本修史(株式会社三和山本 代表取締役)

1973年大阪府出身。22歳で入社、2年菓子専門学校、1年修行期間を経て、株式会社三和山本に配属。29歳で代表取締役社長に就任。

<文・撮影/みつはしさなこ MC/澤水拳太 画像協力/三和山本>

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