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70年親しまれてきた「三宮一貫樓」の豚まん。ハーフサイズの「ちび豚まん」が人気

2024/11/26

今回、アッキーこと坂口明子編集長のアンテナがピピッと察知したのは、玉ねぎの甘さとコクのある豚肉の味がぎゅっと詰まった豚まん。神戸で70年間親しまれてきた味ですが、最近人気なのがちょっとだけ食べたいときやお子さん、シニアにちょうどいいハーフサイズの商品。中華料理の名店が揃う神戸ならではの味の秘密を株式会社三宮一貫樓、常務取締役の安藤孝志氏に取材スタッフがうかがいました。

株式会社三宮一貫樓 常務取締役の安藤孝志氏
株式会社三宮一貫樓 常務取締役の安藤孝志氏

―安藤さんのお祖母様が始めた食堂が事業の始まりとうかがいました。

安藤 祖父母は3人の子どもを育てていました。祖母・安藤春子は家計の助けにと思い、1954年に神戸市兵庫区で「ひさご食堂」という店を開店しました。中華そばなど中華料理をベースに、定食やおでん、うどんなどもある大衆食堂で人気を呼びました。やがて私の両親もその食堂に入り、1966年には神戸の中心地域に2号店を開店しました。祖母は礼儀や商売人としてあるべき姿を説き、孫にも厳しかったです。その教えは、今も自分の中に生きていると感じることがあります。

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JR元町駅からすぐの場所にある「三宮一貫樓本店」。
レストランで食事する人、テイクアウトを求める人の列が絶えない。

―元町に移転してからの商売も順調でしたか。

安藤 商売は順調でした。しかし、経営は大変でした。これは私自身もいろんなところで話したり書いたりしているのでここでもお伝えしますが、いわゆるバブル景気と呼ばれるころに大家さんが土地と建物を購入しないかと言ってきました。当社は賃貸を継続したいと希望したのですが、すると大家さんが不動産会社に転売し、さらにその会社も別の不動産会社に転売し、その会社はここを再開発したいということでいわゆる地上げにあったのです。双方で弁護士を立てて話し合いましたが、よく映画やテレビで報道されるような怖い思いもしました。
4年の係争期間を経て和解ということになりましたが、当社が店舗を買い取ろうとしたとき、先方の不動産会社からは法外な金額を提示されました。
その金額を支払うために借入をすることになりました。私たち一家の苦労はそこから始まりました。

―常務はそのころに入社なさったのですね。

安藤 多額の借金を残してバブルが崩壊し、1995年には阪神・淡路大震災が起き、さらに経営は苦しくなりました。私は大学を卒業してすぐに入社しました。兄たちが頑張っていて私も入るものだと思っていましたし、両親も入社を期待していました。
普通、会社経営をしている家の子どもは卒業後に他社に就職して、しばらく修業してから家業に入ることが多いと思いますが、うちの場合、外で修業するより家で働く方が厳しかったです(笑)。

たとえば、震災後、母の発案で元町本店は深夜2時まで開けていました。
私は朝から夜まで当時任されていた別の店で働き、その後兄弟が交代で元町店に行って午前2時まで店番をしました。営業時間が長くなるとどうしてもスープが足りなくなるので、父が工場でスープを炊いていたのですが過労で倒れました。また兄弟が交代で明け方までスープを炊きに行かなくてはいけなくなりました。スープを炊くパートさんが見つかるまでの2か月間、1日20時間仕事したことがあります。家業がブラック企業でしたね(笑)。人がしないような体験をしたと思います。
そのときのお陰で体力も養うこともできましたし、今は私が入社して私にも会社にもよかったと思っています。

―苦労をともにした分、きょうだいの結束も固そうですね。

安藤 いや、今は仲が良いですが、険悪な時期もありましたよ(笑)。でも、会社が倒産してしまうと、兄弟全員が借金の保証人になっていたので団結せざるを得なかったのでしょう。よく、後継者同士で揉めたりする会社の話を聞きますが、私に言わせればそれはお金があるからだと思います(笑)。

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たまねぎの甘味と豚肉のジューシーな味わいが同社の豚まんの特徴。
70年にわたり、神戸の人に親しまれてきた。

―なるほど。リアルなお話ですね。さて、人気商品の豚まんはいつから開発なさいましたか。

安藤 1966年に元町の店(現本店)を開くときに、父が1人の職人さんを紹介されました。それが山本昭夫さんという料理長さんで、大阪で修業なさってきた方でしたが、鋭い味覚を持っていらして、何でも上手に作られる方でした。父は何か名物になる商品を出したいと考え、豚まんを作ろうと思ったようです。山本さんが独自のレシピで作り、当社は山本さんが作った味を守り続けています。
ちなみに関東では肉まんと呼びますが、関西は元々、肉料理と言えば牛肉を指すことが多く、豚肉を使う場合は区別して、メニュー名に「豚○○」とつけます。お好み焼きは「肉玉」といえば牛肉が入っているもので、豚肉を使うときは「豚玉」といいます。ですから「肉まん」と「豚まん」は同じものですが、関西の風土に合った呼称におさまったという訳です。

―神戸には人気の豚まん店がたくさんありますね。

安藤 明治初期、神戸開港によって外国人居留地が開かれた神戸には、貿易に従事する外国人が多く住みました。神戸に移住した華僑の料理人が中華料理店を開店しました。
手頃な値段で食べられる豚まんは各家庭に広がり、神戸グルメのひとつとして親しまれるようになりました。店によって違いがある味を比較して楽しんだり、家や人ごとに贔屓の店があったりする食文化があります。

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「ちび豚まん」は子どもやシニア層に人気。
ちょっとお腹がすいたときにつまむのにも適している。

―その中で御社の味の特徴は何でしょうか。

安藤 当社の豚まんは、甘いとよく言われます。それは甘くて柔らかなことで有名な淡路島産を中心に厳選した玉ねぎをたっぷりと使っているからです。たまねぎの比率が高いのでヘルシーでもあります。「炒めて甘さを引き出しているのか」とよく聞かれますが、炒めず生のたまねぎの甘さを生かし、シンプルに作っています。

豚肉は愛知県、岐阜県から仕入れた国内産豚肉を使っています。具は甘さとジューシーさがありますが全体にあっさりとしているのは、たまねぎと良質な豚肉の組み合わせからできる味わいです。
皮の材料も厳選しています。小麦粉にはスーパーバイオレットという高品質の薄力粉を使用しています。最初、一口食べるともっちりした食感がありつつ、口の中に入れるとほどけるようにやさしい口当たりがあるのはこの小麦粉だからです。

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豚まんの製造はすべて手作りで行われている。

―店頭での実演販売も好評とか。

安藤 元町の本店はレストランを併設していて横にテイクアウトコーナーがあります。そこでは具材を一つひとつ手で包んで製造しているのですが、その様子をお客様に見ていただこうと思って作業場はガラス張りにしています。

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「ちび豚まん」は通常の豚まんの半分の大きさ。
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ちょうどいい大きさの「ちび豚まん」。
たまねぎの甘さとコクのある豚挽き肉の味が口の中に広がる。

―今回、紹介いただける「ちび豚まん(5個入)」はどのように開発しましたか。

安藤 これは、百貨店の催事に出店するときにこれまでとは違う形の商品ができないかと打診されて開発しました。通常のサイズの約半分の重さです。当初はやはり従来通りの大きな豚まんの方が圧倒的に売れ行きがよかったです。製造面でも2種類作らなくてはいけないので手間がかかりますし、私自身もレギュラーの豚まんの方が食べ応えがあり満足感があると思っていました。
しかし、最近は高齢者の方やお子さん、ちょっとおなかがすいたというときに食べるにはちょうどいいということで人気が出てきました。私自身も年を重ねたせいか(笑)、ちょっと食べたいというときにはこちらを食べるようになっていますね。お客様も店頭で選ぶ楽しさがあるので2種類のサイズ展開にしてよかったと思っています。

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オンラインショップではしゅうまい、ぎょうざ、ラーメンなども扱っている。

―オンラインで注文すると冷凍で届くので安全安心です。

安藤 オンライン販売は20年以上前からスタートしていますから導入は早かったですね。それまでも電話やファックスでの注文を受けていましたが、だんだんオンラインでの受注が増えてきました。
豚まんなど商品は-約40℃で急速冷凍してお届けするので作りたての味が届きます。保存しやすいので贈り物にも適しています。

―神戸の豚まんのお店は横の繋がりも強いのですね。

安藤 神戸の街を活性化したいと思って何かできないかと思い、神戸の有力店に呼びかけて「KOBE豚饅サミット(R)」を2011年に始めました。それ以来、毎年11月11日を「豚饅の日」と定めてイベントを行っています。毎年10店舗以上の参加があり、2024年で13回の開催になります。オリジナル豚まんを販売したり、東北や熊本などの被災地支援を行ったりする活動を行っています。

―ライバルとも共存しようとするのがすばらしいですね。今後の目標などお聞かせください。

安藤 私たちは「笑顔創造企業」というコンセプトを掲げています。これはお客様がおいしいものを食べて笑顔になっていただきたいという意味とともに、働く私たちも楽しく笑顔で働けたらいいという思いを込めています。
祖母が始めた食堂から今年で70年になります。私たちきょうだいは3代目になりますが、先々代、先代の功績を基に、たとえば創立100年になったときに「3代目も頑張ったな」と神戸の方たちに褒めていただけるように今後も粛々と仕事をしていきたいと思っています。

―本日はリアルな歴史を含め、真摯にお話くださりありがとうございました。

ちび豚まん

ちび豚まん(5個入)
価格:¥850(税込)
店名:三宮一貫樓オンラインショップ
電話:0120-099-366(年末年始休み)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:ちび豚まん(5個入) | 三宮一貫楼 (ikkanrou.jp)
オンラインショップ:三宮一貫楼 (ikkanrou.jp)

※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。

<Guest’s profile>
安藤孝志(株式会社三宮一貫樓 常務取締役)

1973年神戸市生まれ。甲南大学卒業後、1997年株式会社三宮一貫樓入社。姉の取締役・安藤絹代、長兄の代表取締役・安藤信幸、次兄の専務取締役・安藤秀雄とともに会社経営を担う。現在、広報・渉外部門を担当。2011年発起人となり「KOBE豚饅サミット(R)」を立ち上げる。同イベントは毎年開催されている。

<文・撮影/今津朋子 MC/木村彩織 画像協力/三宮一貫樓>

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