芋感たっぷり!さつまいもへの愛から生まれたやさしい味「mosukiiさつまいもケーキ」
2024/11/29
今回編集長アッキ―こと坂口明子が気になったのは、「ケーキ」と名が付きながら小麦粉不使用、さつまいも率約50%というパウンド型の焼き菓子です。社長のひらめきとさつまいもへの愛情から生まれたやさしいデザート。ハマダフーズ株式会社 代表取締役の濱田治孝氏に、取材陣が伺いました。
―創業からの歩みをお聞かせください。
濱田 1914年に祖父が、熊本県南部の芦北町に、鮮魚の仲買商として浜田水産を創業しました。1965年に父が2代目を継ぎ、1997年に私が入社。その間、エビをはじめとする水産物の加工や冷凍食品の製造を行ってきました。
大手水産食品会社のエビフライの下請け製造が主力でしたが、その商品がどんどん海外に流れてしまいました。原料となるエビは輸入していましたし消費地も別にあって、うちが熊本県で作るメリットもあまりないと感じていたので、私の入社を前後して、さつまいもの加工業を始めました。九州は周知のとおりさつまいもの一大産地です。熊本県はさほどでないものの、生産量ベスト5に入る鹿児島県や宮崎県まで2~3時間の距離。地の利があると見通して、さつまいもの加工を始めました。現在はペーストを中心としたさつまいもや玉ねぎの加工、一部鶏肉の加工も行っています。
九州南部で栽培される高系14号などを丁寧に処理加工している。
―社長が入社してさつまいも加工を始められたのですか?
濱田 たまたま時期が重なったという感じです。私自身は大学を卒業後、クライアントでもあった大手水産食品会社に、勉強のため勤め始めました。工場勤務で、環境が良く、とても多くの学びがありました。もっと勉強したいと思っていましたが、さつまいも事業を始めることになり、戻らざるを得なくなったという状況でした。
さつまいも加工を始めて20年後の2017年に、社名をハマダフーズに変更しています。
-「mosukii」ブランド立ち上げの経緯を教えてください。
濱田 さつまいもや玉ねぎの加工はすべてBtoBで、比較的安定していました。だからこそ、新しいことをしたいという想いがあり、自社が主体的に動ける事業を始めようと思い立ちました。さつまいもペーストは、卸先のメーカーでスイートポテトなどおいしいスイーツになっている自慢の商品ですし、こだわりの菓子メーカーさんは原料加工から自社でされていると聞いたことがあったので、うちも菓子製造までできるんじゃないかと考えました。何より、さつまいものおいしさを直接消費者に伝えられることにワクワクしました。
ハマダフーズがさつまいものおいしさを伝えるBtoCブランド「mosukii」。
―ブランド名の意味は?
濱田 「いも好き」と10回言ってみてください。「もすきい」に聞こえるでしょう?さつまいもが好きな気持ちも、さつまいもの良さを伝えたい想いも表現できていると自負しています。mosukiiのロゴも気に入っています。黄色い丸はサツマイモの断面にも太陽にも見立て、斜線が土、土の中でさつまいもが育っている様子を表しています。北欧風のロゴも、子どもから大人までみんなに愛されますようにという願いを込めた、かわいらしいものに仕上がったのではないでしょうか。
さつまいもへの愛着がたっぷり込められた「mosukii」ブランド。
―商品第1号は?
濱田 いろいろ試しましたね。フライドポテトのようなものも考えましたが、うちには小売店舗がありませんから、販売ルートを冷凍配送に限定し、お芋がたくさん入ったプリンのような商品が完成しました。瓶に入った、商品名は「生スイートポテト」。良いものができたと思っていたのですが、配送するには瓶が重いし割れるリスクもある。せっかく気に入っていた商品名も、すでに他社製品にありました。開発は振り出しに戻ったかに思えたその頃、夢に、カステラが出てきたのです。社員旅行で長崎に行って夢に出てきたカステラ。老若男女に愛され、さつまいもと相性の良い卵を使った焼き菓子……。ここにヒントを得て、生スイートポテトに卵を加えてカステラのような形に焼くことにしました。
形や製法は社長の夢に登場したカステラをオマージュ。
―最もこだわった点は?
濱田 世に出回るさつまいも菓子って、お芋の使用量が少なかったり、フレーバーが強いと感じる商品だったり、そういうものが多いように感じていました。お芋を味わっていただくためにはさつまいもをたくさん入れたいということで、さつまいもケーキの半分以上はさつまいもでできています。
さらには、グルテンフリーを実現したかったので、ケーキとしての形を保つのに、小麦粉でなく、さつまいもでんぷんを使用しました。
主材料であるさつまいもは、九州産の「高系14号」。ホクホクとした果肉で加工に適しており、比較的甘みが強く、冷めてもおいしい品種です。手間ひまかけてペーストした生地に、角切りにしたさつまいもをたっぷり入れて食感も楽しめます。構想から4年の月日を経てようやく完成しました。2022年にプレーンができて、翌年にはチーズとチョコも完成しています。
想像以上に「芋感」たっぷり。
しっとり滑らかなさつまいも生地の合間に、ほっくり角切り芋が入って、
スイートポテトとも小麦粉のケーキとも異なる新しいおいしさ。
―おすすめの食べ方を教えてください。
濱田 冷凍で届きますから、冷蔵庫でゆっくり8時間くらいかけて解凍してください。まずはそのまま切ってどうぞ。オーブントースターなどで温めるのもおすすめです。バターやアイスクリームをトッピングしてもよく合いますよ。購入いただいたお客様からは「芋感がすごい!」「丸ごとスイートポテトのよう」「食感の違いが楽しい」など喜びの声をいただいています。パッケージにもこだわったので、贈り物にもおすすめです。
箔押しのロゴで高級感があり、贈り物にも◎。
パッケージを開いてすぐに食べられるよう、小さなカッティングボードが入っている。
―今後の展望をお聞かせください。
濱田 「mosukii」ブランドの立ち上げは、最初の目標達成であり、農家さんでいえば畑をもったようなイメージです。これから作物を育てるようにこのステージで多くの新商品を開発し、育てていけると思っています。ようやくケーキが完成したところなので次のビジョンは具体的ではありませんが、これから時間をかけて伸ばしていくべく、アイデアを出していきたいと思っています。
―素晴らしいお話をありがとうございました!
「mosukiiさつまいもケーキ」(プレーン)
価格:¥2,700(税込)
店名:mosukii
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://mosukii.com/products/35/
オンラインショップ:https://mosukii.com/
※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。
<Guest’s profile>
濱田治孝(ハマダフーズ株式会社 代表取締役社長)
1973年熊本県生まれ。大学卒業後、日本水産へ出向し、1年の修業期間を経て1997年にハマダフーズ株式会社へ帰社。2017年に同社代表取締役に就任。主にさつま芋のペーストの卸業をしている中で2020年に自社ブランド「mosukii」を立ち上げBtoC市場への参入やBtoB商品の自社ネット販売にも着手。
<文・撮影/植松由紀子 MC/伊藤マヤ 画像協力/ハマダフーズ>