うまみと栄養がギュッ!と詰まった、九州産・原木しいたけの調味料3種
2024/11/29
2013年に、「和食」がユネスコ無形文化遺産に登録されて以来、「うまみ」は世界でも知られる言葉となりました。その「うまみ」をたっぷりと含む食材の代表格が「しいたけ」です。今回、編集長アッキーこと坂口明子が気になったのは、九州の山で約2年をかけて栽培される貴重な原木しいたけをふんだんに取り入れた、ドレッシング・ソース・ポン酢の3種の調味料。子育て中のママが開発したというエピソードにも惹かれ、製造元の株式会社武久が営むしいたけ専門店「陽より子」店長の武久景子氏に取材陣が伺いました。
株式会社武久・「陽より子」店長の武久景子氏とお嬢さん
―家業が“しいたけ”だそうですね。
武久 弊社は福岡県筑後市で約90年、しいたけの卸売を行っており、現在は私の父が代表です。私は弊社のしいたけ専門店「陽より子」と、「ま・ご・わ・や・さ・し・い」をテーマにしたカフェ「HIYORIKO CAFE」の店長を務めています。
武久氏が店長を務めるしいたけ専門店「陽より子」。店内にはカフェも。
―家業と関わられた経緯を教えてください。
武久 私は3姉妹で、誰かが跡を継ぐことになるとは思っていましたが、まずは自分の好きな道へ進もうと、高校を卒業後、客室業務員の専門学校を経てサービス業を約5年、その後は営業職を経験しました。サービス業では相手のニーズを理解して瞬時に提案することを学び、営業では1日50件の飛び込み営業などを経験しましたので、度胸も十分です。
一方、自身で起業したいという夢もあり、起業塾にも通いました。ただ当時は、「この分野でやりたい」というビジョンを持っていたわけではなく、ぼんやりしたものでした。そのうち家業から、「仕事に関わってみないか」と声がかかりました。
私は家業の商売に全く興味がなく、しいたけも苦手でした(笑)。ただ会社の運営を経験できるところに魅力を感じて入社し、現場では張り切って提案を行って、業務の効率化を図ろうと努めました。ただ、弊社も歴史のある企業で、長年守られてきた“しきたり”みたいなものがあります。新しいことに抵抗を示される場面もあり、「辞めた方がいいのかな」と考えることもありました。すると、そのタイミングで両親がある女性を紹介してくれたのです。
その方は私に、「ただしいたけを売ろうと考えるのではなく、『今、食の乱れによっていろんなことが起きている』ということを世の中に伝えることが大切よ」とおっしゃいました。その時はいまいち意味がわからなかったのですが、言われたとおりにやってみると、不思議なことにお取引先がどんどん興味を持ってくださるようになり、売り上げがアップ。会社でも少しずつ認めてもらえるようになりました。
―その時は乾燥しいたけを販売していたのですか?
武久 そうですね。ちょうど健康や食の大切さ、ていねいな暮らしに関心が高まっていた時期でしたし、方々でとても良い反応をいただきました。ただその頃の私は、しいたけという食材を販売しているにも関わらず、自分では料理を全くせず、手軽にとれるインスタント食品も当たり前に食べていました。それでも毎朝、乾燥しいたけを戻し、入りこと昆布を加えた母のお手製お味噌汁を飲んでいました。すると日に日に体調が良い方へ向かい、とても驚きました。さらにその後、私は結婚して母親になったのですが、子どもの体調も食生活にすごく左右されることが分かり、遅ればせながら、食事の重要性、しいたけの役割、和食の素晴らしさ…女性の言っていたことがストンと腑に落ちたのです。
―乾燥しいたけの販売を経て、今回ご紹介する「陽より子オリジナル調味料3本セット」はどのように生まれのたでしょうか。
武久 子どもには何としてでも良いものを食べさせてあげたいけれど、子育てって本当に忙しい。出汁を取る時間すらない場合もあります。そこで、手軽でおいしい食事作りをサポートしてくれるものがあれば、と考えるようになりました。実は、加工品に対してずっと、「手軽に食べられる=体に良くない」というイメージを持っており、弊社では全く手をつけていない分野だったのですが、背に腹は変えられません(笑)。それなら安全でおいしいものを作ればいいのだと気持ちを切り替え、スピーディーにプロジェクトを推し進めていきました。
―そして、「しいたけドレッシング」「しいたけぽん酢」「しいたけとトマトのソース」の3本が生まれたのですね。
武久 全て、九州産の原木栽培しいたけを使用した調味料です。1本ずつご紹介すると、まず「しいたけドレッシング」には、しっかり振らないとドレッシングが出てこないほど、たっぷりとカットしいたけを詰めました(笑)。濃度もあるのでサラダだけでなく、お肉やフライにソースのようにかけるのもおすすめです。
次に「しいたけぽん酢」は、しいたけの軸でとった出汁に、酸味が優しい柑橘を合わせました。茹でたオクラにサッとかけても良いし、茄子の煮浸しにも使えます。野菜とお肉の炒め物にかけていただいてもおいしいですよ。
そして「しいたけとトマトのソース」は、焼きしいたけのパウダーとトマトを合わせたソースで、鶏肉との相性が抜群。子どもも食べやすいマイルドな酸味で、トマトやケチャップの代用品としても使っていただけます。我が家では、カレーの隠し味としても大活躍しています。また3本とも鍋料理に合うので、これからの季節は引っ張りだこです。
しいたけがゴロゴロと、「これでもか!」と入った「しいたけドレッシング」。
お豆腐にかけてもおいしい。さっぱりとした味わいの「しいたけぽん酢」。
「しいたけとトマトのソース」は、パスタソースにもアレンジ可能!
―それぞれ、パッケージも可愛いです。
武久 つい手に取りたくなる、料理が楽しくなるようなものをと考えました。
テーブルの上を明るくしてくれるようなタッチのイラスト入り。
―さまざまな栄養が豊富に含まれている点も特徴ですか?
武久 しいたけには、「ビタミン」や「ミネラル」が豊富に含まれていて、乾燥させたしいたけには、さらに「食物繊維」もたっぷりです。また、三大うまみ成分のひとつである「グアニル酸」も豊富。これは鰹節に含まれる「イノシン酸」や昆布に含まれる「グルタミン酸」と合わされると、そのおいしさが何倍にも広がります。
―しいたけになじみがなかった方にも喜ばれそうです。
武久 実際に、さまざまな方に喜んでいただいていますし、しいたけが嫌いだった私も今では大ファンです(笑)。ちなみにこちらは現在、国内だけでなく、アメリカやイギリス、フランス、シンガポールでも販売しており、好評をいただいています。
出産のお祝いに送っても喜ばれそうな3本セット。
―しいたけをたっぷりと味わえますね。
武久 そうなるといいな、と思います。と言うのも、日本ではかつて、1人あたり年間150gぐらいのしいたけを取っていたと言われていますが、現在は約20gにまで減少しています。また昭和初期は年間15,000tぐらいあった生産量も2,000tを切りました。
特に原木しいたけは、菌床しいたけとは異なり、クヌギの木を伐採してカットして、穴を開けてコマを入れ、それを杉山に何千本、何万本と移動させ、山の上で2年間もの歳月をかけて作る、非常に手間のかかるものです。風味も豊かでおいしさも間違いありませんが、やはり生産者の高齢化や環境の変化などにより、生産量は減少し続けているのです。
私たちは、その貴重な原木しいたけ、原木しいたけ加工品を販売しながら、栽培してくださる方々や、地域の山を守る力にもなれたらと考えています。
ちなみに今、20代の6割ぐらいしか、うまみの味覚がわからないと言われていることをご存知でしょうか?幼少期から濃い味に慣れてしまい、繊細な味がわからなくなっているそうです。
近年は「出汁」ブームで、さまざまな出汁パックが登場していますが、裏面を見ると、意外に塩分や化学調味料の名前が記載されているものもあります。せっかく体のためと出汁をとっているのに、高血圧をはじめ成人病を引き起こす要因になっている場合もあるなんて、残念に思います。
だからこそ私たちは、少し面倒かもしれませんが、やっぱりシンプルにしいたけで出汁をとることの魅力もお伝えできるように努めています。
株式会社武久は、九州産の原木椎茸にこだわり、厳しい基準と目利きの力で、最高品質のしいたけを取り扱っている。
―しいたけマイスター制度を設けていらっしゃるとか。
武久 「知ること」って、すごく大切だと思っています。「物が売れない」と言われる今日この頃ですが、もしかするとそれは、本当に大切な情報を消費者の方にお届けできていないのかもしれません。私たちも乾燥しいたけを販売する中で、「出汁を取るのが大変」だとか「おいしくできない」というお声をいただくことがありますが、その時に、「より簡単な出汁の取り方」や「おいしい取り方、使い方」をお届けすることで、みなさん興味を持ってくださいますし、販売にもつながっています。
―将来のビジョンについても聞かせてください。
武久 例えば子どもにとって、親御さんの笑顔ほど、強いパワーに変わるものはありません。もちろんその逆も然りですね。私の夢は、食を通じて、笑顔あふれる良い世の中づくりを進めていくことです。20年前、何かで起業したいと意気込んでいた私のぼんやりとしたビジョンが、家業で代々扱ってきたしいたけを通して、ようやくはっきりと見えてくるようになりました。
―とてもパワフルに、はつらつと語ってくださった武久様、貴重なお話をありがとうございました!その思いがギュッと詰まった3種類のドレッシングを、しっかりと味わってみたいと思います。
「陽より子オリジナル調味料3本セット」(150ml×3本)
価格:¥1,900(税込)
店名:しいたけ専門店 陽より子
電話:0120-234-015(10:00~18:00 日祝日定休)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://hiyoriko.myshopify.com/products/陽より子オリジナル調味料3本セット
オンラインショップ:https://hiyoriko.myshopify.com
※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。
<Guest’s profile>
武久景子(株式会社武久 陽より子店長)
1983年、福岡県生まれ。客室乗務員の専門学校を卒業後、添乗員、ホテルマン、営業職を経験し、2010年に株式会社武久に入社。日本古来の旨味の基本であるしいたけを通して、旨味やだしの基本の講座開講、手軽に使えるしいたけ加工品の開発・販売を行っている。
<文・撮影/鹿田吏子 MC/伊藤マヤ 画像協力/武久>