国産大豆と日光銘水で作る風味豊かなゆばを食す「日光ゆばらーめん」「味付ゆば」
2024/12/23
今回編集長アッキ―こと坂口明子が気になったのは、麺に、なんとゆばを練り込んだというゆばラーメンです。日光の家庭で一般的に食べられている料理を再現した商品にも注目。株式会社日光食品 代表取締役の永島伸也氏に、取材陣が伺いました。
株式会社日光食品 代表取締役の永島伸也氏
―2009年ご創業のきっかけから教えてください。
永島 私はもともとドアメーカーに勤めていましたが、親族が経営していた卵加工の会社を、業績不振を理由に引き継ぐことになりました。商談相手がホームセンターからスーパーマーケットに変わるくらいかな、という軽い気持ちで引き受けたものの、実際は賞味期限のある食品の扱いに始まり、見積りの出し方1つ取っても違うことに、はじめは戸惑いましたね。
慣れるにしたがって、利益の全く出ない商品と伸ばせそうな商品とがわかってきました。卵加工の傍らで展開していたゆばの製造の方に可能性を感じたので、主軸をそちらに変更。日光食品として改めてスタートを切ったのが2009年です。
ゆばを主力商品に、株式会社日光食品としてスタート。
―現在までの歩みをお聞かせください。
永島 最初は、観光客向けの土産物として、ゆばの加工品と味付け卵を売り出しました。しかし、2年後に起きた東日本大震災の影響で観光業が完全にストップ。販路をスーパーに切り替えるべく、一般家庭向けの商品を徐々に開発していきました。なんとか乗り切ったと思った矢先、コロナ禍に突入し、再び大ダメージ。それからは、業務用商材にも力を入れつつ、一般向けの商品を増やしながら現在に至ります。
その間には、産業廃棄物だった、ゆばを作る過程で大量に出るおからを、とあるスーパーさんの提案で商品化したこともあります。お金をかけて捨てていたものが、売り上げに貢献するようになったのですから、ありがたい提案でしたね。
おかげさまで、売り上げで見れば創業時の2倍ほどになり、諸々の判断は正しかったのかな、と思っています。
―主力商品であるゆばのご説明をお願いします。
永島 大きな特徴としては、栃木県産の大豆を使っている点です。農作物なので、もし栃木県産がとれない場合があったときのために「国産」と表示はしていますが、今のところ、地元産「里のほほえみ」という品種を継続しています。できれば日光産でいきたいのですが、日光だけでは量が足りなくて、隣接する塩谷町の農家さんと契約をして作ってもらっています。
次に水。日光の北の方に男体山(なんたいさん)という大きな山があって、その伏流水をくみ上げて使用しています。クセのない軟水で、大豆の風味を存分に引き出してくれますから、うちのゆばは、大豆のコクや味わいを強く感じていただけると自信を持っています。
ゆばというと京都が有名かと思いますが、日光と京都ではくみ上げ方に違いがあります。端から引き上げる京都に対して、日光では真ん中に棒を入れてすくい上げるので、引き上げたとき2枚になります。ですから、厚みがあって食べ応えがあります。
真ん中に棒を入れてすくい上げるので、2枚重なって食べ応えのあるゆばになる。
永島 できたてのゆばは、本当においしいですよ。刺身ゆばは、魚の刺身のように3日間しか日持ちがしないので、直売所でのみ販売しています。すると、日持ちしないのに結構な量を買われるお客様が多くて、伺うと、友だちに頼まれたからとか、ご近所の分もまとめてと言われます。でき立てのおいしさ、手を加えないシンプルなゆばの良さを知ってくださる方が多くて本当にうれしいですね。同時に、素材にこだわって、昔ながらの製法を守ることの大切さも実感します。
―ゆばの商品展開はどのように?
永島 温度別に3種類、業務用がメインの冷凍商品、スーパーがメインの冷蔵商品、常温の土産商品があります。冷凍商品は、飲食業などのお客様が調理をされることになるので、大袋でコストをかけず、お客様の負担を減らせるように心がけていますし、冷蔵商品は、日持ちと食感と風味のバランスの取れる商品を作るようにしています。土産商品は、温度管理をしなくても持ち帰って安全に食べられることを大切にするなど、それぞれ買われる方の立場で商品を作るようにしています。
―常温の土産物の柱「ゆばラーメン」はどのようにして生まれたのですか?
永島 日光では昔からゆばがつくられており、名産品の1つとされていますから、市内の飲食店に、ゆば丼、ゆばうどん、ゆばラーメンなどのメニューはありますが、お土産としてはありませんでした。有名なラーメン店の土産品はありましたがゆばラーメンはなくて、もううちで作るしかない!と思い立ちました。
取引先の飲食店にもいろいろなゆばラーメンがあって、特に定義のようなものはありませんでしたから、うちらしいものは何かを考えました。スープに特徴を出すのは難しかったので、麺に特徴をと、ゆばを練り込むアイデアが生まれました。
―完成までの道のりは?
永島 土産品なので、地元、栃木県内の製麺業者さんに協力を仰ぎました。ゆばを粉末にして練り込むのですが、まずはそのゆばの量が難しかったですね。あまり入れすぎるとボソボソになるし、少なすぎては意味がない。麺がツルツルと滑らかな食感になるちょうど良い加減になっていると思います。
麺にゆばを練り込むことでツルツルとして歯切れのよい食感に。
永島 その後は麺の太さ、スープとの馴染み具合い、日持ち、パッケージと試行錯誤を重ね、約1年後に完成しました。醤油味の4食箱入りを筆頭に、ドンとトッピングできる湯波をセットにした1食袋入りは、醤油、味噌、塩味というラインナップです。
袋入りにはトッピング用にたっぷりの湯波がセットになっている。
袋入りは醤油、味噌、塩の3フレーバー。
―味付ゆばについても教えてください。
永島 日光で、お正月やお祭りなど、人が集まる場に登場する郷土料理をそのまま商品にしました。揚げた巻きゆばを、めんつゆを少し甘くしたような味に煮たものです。先にも話したように、日光のゆばは2枚重なっていますから、生地がしっかりしていて、味の含みもいいのです。 そのままでもおいしいですし、温めても冷たくしても季節やお好みに合わせて召し上がれます。
日光の伝統料理を手軽に味わえる。
―巻きゆばは食べ応えがあり見た目も映えますね。
永島 実は、ECサイトで一番売れているのは、「さしみ巻きゆば」(2本入り¥1,080/税込)なんです。工場をフル稼働にしても生産が追いつかないほどの人気。直売所で刺身ゆばが好評なように、栃木県産の大豆を日光の銘水で丁寧に仕込んだゆばそのものが求められていることを感じます。
一口大に切って添付のたれをつけるだけと、手軽に日光ゆば本来のおいしさを楽しめる。
永島 昔ながらの製法にこだわって、なるべく味の変化もしないように大切に作っていかないと、お客様をがっかりさせちゃうかな、と思っています。守るところは守って、時代に合わせて変えるべきところは変えてと、メリハリをつけた商品開発を心がけていきたいですね。
―今後の展望をもう少しお願いします。
永島 ついこの間までは、コロナ前の状態に戻すことを目標にしていました。最近はスーパーでの売り上げが好調なのでなんとか戻りつつありますが、観光の方はまだまだといった状況。ですから、観光客に向けての商品開発を進めると共に、スーパー向けの商品強化も行なっています。
日光ゆばをもっと知っていただくという意味で、地元百貨店での催事や日光近郊で行われるイベントには積極的に出店しています。全国的な食品展示会にも参加して、新しいお客様との出会いもどんどん求めていこうと思っています。
―素晴らしいお話をありがとうございました!
「日光ゆばらーめん(4食入)」
価格:¥1,188(税込)
店名:日光食品
電話:0288-22-7054(土・日・祝以外 9:00~17:00)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://store.shopping.yahoo.co.jp/yuba/yuba-ramen1.html
オンラインショップ:https://store.shopping.yahoo.co.jp/yuba/
「味付ゆば」
価格:小3個入り¥535/中4個入り¥713/大6個入り¥1,188(すべて税込)
店名:日光食品
電話:0288-22-7054(土・日・祝以外 9:00~17:00)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://store.shopping.yahoo.co.jp/yuba/ajiyuba-s.html
オンラインショップ:https://store.shopping.yahoo.co.jp/yuba/
※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。
<Guest’s profile>
永島伸也(株式会社日光食品 代表取締役)
1972年栃木県栃木市生まれ、ドアメーカーなどでの営業の経験を活かし、2009年に株式会社日光食品を立ち上げる。栃木県日光市の名物”日光ゆば”を全国に広めるため様々な展示会出展や地元のプロアイスホッケーチームの”日光アイスバックス”のスポンサーも務める。
<文・撮影/植松由紀子 MC/伊藤マヤ 画像協力/日光食品>