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日本一早い新米を、丹精込めて自社栽培!石垣島の米作りを支えるみやぎ米屋の「石垣島ひとめぼれ」

2024/12/20

どこよりも早く新米が食べられると聞いて、今回編集長アッキーが注目したのは、沖縄県八重山諸島に位置する石垣島のお米。県内最大の米どころといわれる美しい南の島で、島の活性化に取り組みつつひたむきにお米と向き合うお米屋さん、みやぎ米屋株式会社の常務取締役・宮城智一氏にスタッフがお話を伺いました。

みやぎ米屋株式会社 常務取締役の宮城智一氏

みやぎ米屋株式会社 常務取締役の宮城智一氏

―石垣島のお米屋さんということで、まずは創業のきっかけを教えてください。

宮城 私の祖父に当たる人物が、1962年に設立しました。もともと祖父は、船会社の役員をしていたと聞いています。お米だけでなく、沖縄本島から石垣島への物流を一手に担っていたのですが、業績が悪化して業務縮小となってしまいました。会社が輸送をやめると、島の人たちがお米を食べられなくなる。そのことを危惧し、勤めを辞めて米屋を立ち上げたそうです。
1975年、父が音楽大学在学中に、その祖父が急逝。跡を継いだ父が、約50年に渡り経営者として石垣島の米と向き合い続けています。社としては、1981年に有限会社八重山米穀として法人化し、1996年にみやぎ米屋へ社名を変更、2002年にはみやぎ米屋株式会社に組織変更いたしました。

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当初は、琉球食糧株式会社の八重山代理店として個人で創業。

―宮城常務が3代目予定、ということでしょうか?

宮城 今のところ3代目候補ですかね(笑)。私自身、もともと東京でシステムエンジニアをやっていたんです。就職して6年くらい経ったあるとき、父から電話がかかってきて、島へ帰ってきて一緒に米屋をやってもらえないか、と言われて…。長男ですし、漠然といつかは家業を継ぐことになるだろうなとは思っていたものの、1年ほど悩みました。
石垣島の皆さんに、もっと全国のおいしいお米を知ってもらうために、おにぎりやご飯に合うお惣菜・お弁当などを販売する会社を始めたい、ついてはその代表を任せたい、というのが当時の父の希望でした。ここでの、言ってみれば料理人としての経験が、のちの私の米選びの基礎を育んでくれたのだと思っています。

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おにぎりやお惣菜を販売する店で、料理長も経験したそう。

―今ではお米マイスターの資格も取得されているそうですね!

宮城 お米マイスターは、一般財団法人 日本米穀商連合会が主宰する、お米に関する専門職経験がある人のみに与えられるお米のプロ資格です。わが社には私ともう一人、お米マイスター2名が在籍し、飲食店から個人の方まで、さまざまなお客様のお米選びの相談にのっています。自社ホームページには、例えばお米の上手な保存法やおいしい炊き方、お米ってホントに太るの?などといったちょっとした疑問にお答えするお米マイスターコラムも綴っている、いわば中の人が私です(笑)。よかったらのぞいてみてくださいね。

―何種類くらいのお米を販売していらっしゃるのですか?

宮城 北海道産から石垣島産まで、全部で60種類ほどのお米を扱って、精米販売しています。お米は品種だけでなく、精米方法やブレンドによっても味や香り、食感、調理法、合う料理などさまざま。これらすべてをお米マイスターとして監修し、品質を見極め、お米の特長を活かした精米技法やブレンド技術など、日々研鑽を重ねて商品づくりしています。

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ご飯を知り尽くしたプロがいるので、安心して気軽にお米が選べる。

―石垣島産のお米について、教えてください。

宮城 うちで扱っている石垣島産のお米は3種類あるのですが、じつはすべて自社生産です。米屋が自社で田んぼを持ち、使命感をもって、稲作しています。その理由は、米作り農家の高齢化、後継者不足という日本中が直面している深刻な問題を、石垣島でも抱えていることにあります。

10年ほど前、「20年後には石垣島の米作りはなくなるかもしれない」という話を耳にしました。当時、島で稲作に従事している人の平均年齢は60歳。後継はなく、体力の衰えにも勝てないため、いずれ80歳も過ぎれば耕作放棄するしかないと言われていました。
生産者あっての米屋です。既に離農された一つの田んぼを引き取り、米作りへの参入を決意しました。2015年にグループ会社として農業生産法人 株式会社みやぎ米穀を立ち上げ、耕作放棄された田んぼを次々と集約。現在では、年間約60ヘクタールという沖縄県で最大規模の作付面積をもつ米農家に成長しました。

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田んぼ一つからスタートし、家族で力を合わせて今では県内最大の米農家に。

―宮城常務も、田植えや稲刈りをされるのですか?

宮城 田植えや刈り取りはもちろん、田んぼの手入れや管理といった具体的な生産作業は、みやぎ米穀の代表である弟が中心になってやっています。とはいえ作付面積がみるみる増えていったので、惣菜や弁当まで手が回らなくなってしまいました。そこで、家族会議を行って事業整理することとし、惣菜店は2018年をもって閉めることに。
でもこれは、裏を返せば米作りをやめていく人がいかに多いか、ということです。うちでも慢性的な人手不足が続いていて、父も自ら田んぼに出向いてトラクターを運転したりしています。家族と社員一同力を合わせ、丹精込めてお米を育てています。

元・システムエンジニアの経験を生かして、主にデジタルサイドから支えるのが私の役目です。営農IOTシステム(インターネットを駆使したシステム)を活用して、品質向上のための栽培データ管理を徹底するなど、次世代に繋がる農業DX、スマート農業を通じ、稲作を守りつつ、島の未来の活性化に貢献したいと考えています。
先人たちの昔からの米作りの知恵と、最新のデータ技術を融合した、当社のスマート農業の取り組みは、農機具メーカーのKUBOTAからも認められ、日本最南端のスマート農業者として表彰していただきました。

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農業用ドローンを飛ばして、空から田んぼを管理。

―石垣島の稲作の特長は?

宮城 気候が温暖な石垣島の稲作は、日本では九州の一部でしかみられない、珍しい2期作が主体です。1年に2回収穫を行うため、1期米の刈り取りは6月から始まり、日本一早い新米として食卓にお届けすることができるのが何よりの魅力です。

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2月下旬ごろには、日本一早い田植えが始まる。

「令和のコメ騒動」として記憶に新しい、2024年夏の米不足報道時に、沖縄だけ米がある!と話題になりましたよね。単に沖縄には昔から、お盆のころお中元として米を贈る風習があり、それに備えて6月収穫の石垣の米在庫がたくさんあった、というわけだったんですが…。スーツケースに米を詰めて持ち帰る観光客もいましたし、オンラインでの発注もたくさんいただきました。これを機に「意外とおいしい」とリピートしてくださる方が増え、石垣島の米への認知が広まったのはありがたいことでした。

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6月の稲刈りが終わると、2期米に向けて田んぼの土壌分析。2期米は11月に収穫となるのだとか。

―今回ご紹介いただくのは、石垣島産の「ひとめぼれ」ということですが…。

宮城 「ひとめぼれ」は、「こしひかり」に次いで日本で2番目に多く作付されている品種です。どちらも日本人に合ったおいしいお米ですが、「こしひかり」の方がパンチがあります。コメ界の横綱とも言われ、甘みや香りが強く、口に入れただけで幸せを感じるというか、お米だけでおいしいのが「こしひかり」です。
対して「ひとめぼれ」は、控えめなお米。香りや甘みはそれほど強くなく、おかずを引き立てるおいしさがある。私はお惣菜屋で料理長を務めていた経験があるので、おかずとみそ汁、ご飯、とトータルで考えられるお米がおいしいと思っています。主張の激しすぎない、おしとやかなお米が、今回おすすめの「ひとめぼれ」になります。

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おかずのポテンシャルを引き上げ、脇役に徹する潔さがある「ひとめぼれ」は、毎日の献立にぴったり。

―もともと石垣島では「ひとめぼれ」を作っていたのでしょうか。

宮城 いいえ。きっかけは1993年の「平成の米騒動」です。この年、日本は記録的な天候不順と冷夏で、米不足が長期化したんです。米の有数の産地である岩手県でも同様に甚大な被害を受け、その岩手県の目に留まったのが、石垣でした。南の暖かい島で、年に2回、米を作っている、と。石垣島へ岩手の種を送って、米を作ってもらい、成功したらまたその種を岩手に戻してほしい、そう要請されたのが始まりです。その3年後、今度は石垣島の稲作が台風で壊滅的な影響を受けた際には、岩手から種をもらい…。お米の種を繋いで交流が続くなか、4種類ほどテストをしたうちで一番成功したのが「ひとめぼれ」でした。

―東北の稲作とでは、違いはないのでしょうか。

宮城 作業工程はほとんど変わらないです。先ほどお話ししたように、気候の違いから年に2回収穫できるというメリットを存分に享受して、以後「ひとめぼれ」は30年近く、島民にずっと愛され続けています。米どころといえば寒冷地、という先入観をもたれがちですが、稲作技術が飛躍的に発達した現代では、そんなことは決してないんですよ。

―石垣島で「ひとめぼれ」の稲作が定着しているとは、意外ですね。

宮城 今では島内の9割の田んぼで「ひとめぼれ」を作っているくらい、そのおいしさは定着しました。子どもが「石垣島ひとめぼれ」以外のお米を食べてくれない、という熱狂的なファンもいるほどなんです。
特徴としては、比較的大粒でもっちりとやわらかい食感をもち、ほどよい粘りがあってふっくらとした炊き上がりになります。口に入れるとさっぱりやさしく、上品な味わいが残るバランスのよさが、人気の理由かなと思います。
でもじつは、「ひとめぼれ」のおいしさにあまりに感動しすぎて、その他の商品の開発にチャレンジしてこなかった、という側面もあると思っています。私はこれを失われた30年、と呼んでいるのですが…(笑)。

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沖縄随一のミシュラン三つ星景観地「石垣島 川平湾」がプリントされた、みやぎ米屋オリジナルデザインの米袋でお届け。

―新しい品種開発ということですか?

宮城 はい。うちはもともと米屋ですし、お米マイスターとしては石垣島のいろいろなお米を食べてもらいたいという気持ちもあります。より島の気候に合った、収穫量の多い新しい品種も必要です。そこで、自社ブランド米の開発にも取り組んでいます。
先ほど石垣島産のお米を3種類扱っている、と申し上げましたが、「ひとめぼれ」以外の2種がそれになります。「星の美しゃ(かいしゃ)」「於茂登(おもと)のひかり」というのですが、どちらも石垣島の自然をモチーフにしたネーミングにしました。島の温暖な気候と自然の恵みをたっぷりと受け、自社の田んぼで情熱を込めて育てています。

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左の「星の美しゃ(かいしゃ)」は、2023年9月に石垣市及び石垣市商工会から「石垣島認定特産品」として認定されたそう。

―では最後に、今後のビジョンや展望をお聞かせください。

宮城 石垣島の皆さんにお米を届けたい、途切れさせない、という理念は変わらず、今後も石垣島の米はみやぎにかかっている、という気概をもって取り組んでいきます。より一層増えてくると予想される離農を引き受け、石垣の田んぼや米作りを守ることは使命です。環境に配慮し、次世代に繋がるスマート農業などを通じて、元気で持続可能な地域社会の構築に貢献したいと考えています。
と同時に、この美しい島の米の魅力をもっと多くの人に知ってもらいたい、とも思います。石垣島のお米を食べることは、島の田んぼを守り、豊かな自然を育んでいく応援に繋がる一歩となります。日本一早い新米を通じ、私たちの米作りへの取り組みや情熱にご賛同いただき、石垣島の美しい自然と文化を未来に伝承するお手伝いをしていただけたら、こんなに嬉しいことはありません。

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石垣島産のおいしいお米を食べることが、島の応援に繋がる。

―石垣島の船便から届く、「ひとめぼれ」。美しい島の風景や田んぼの未来に思いを馳せながら、到着を待つ時間も魅力的に感じました。実りあるお話をありがとうございました!

石垣島ひとめぼれ(5kg)

「石垣島ひとめぼれ」(5kg)
価格:¥3,650(税込)
店名:みやぎ米屋
電話:0980-82-3557(9:00~19:00 木・日曜除く)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://shop.miyagikomeya.co.jp/products/hitomebore/
オンラインショップ:https://shop.miyagikomeya.co.jp/

※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。

<Guest’s profile>

宮城智一(みやぎ米屋株式会社 常務取締役)
1978年生まれ。元システムエンジニア。
2010年に故郷の石垣島に帰郷し、全国のおいしいお米を広めるためにおにぎり・惣菜店を開業。2015年、地域の田んぼが抱える後継者問題を知り、農業生産法人 みやぎ米穀の顧問として米作りを開始。経営規模拡大に伴い飲食店を事業整理し、本業の米作り・販売に注力。ITの知見を活かしたスマート農業の取り組みは、KUBOTAより日本最南端での表彰を受ける。
お米マイスター、農産物検査員、農業用ドローンオペレータの資格を持つ。

<文/亀田由美子 MC/田中香花 画像協力/みやぎ米屋>

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