おいしくて体にもいいティバッグのバラエティセット「t to(5種セット)」で、心身ともにリラックス
2024/12/26
お茶好きなアッキーこと坂口明子編集長がおすすめし、ギフトにも使いたいと思っているお茶セットが「t to(ティ トゥー)」シリーズの5種セット。姫路城で有名な兵庫県姫路市の茶舗が手がけたこの商品は、おいしくて体にいいティバッグのお茶が5種類入っています。ほっとしたいとき、気分転換したいときなどそのときの気分にぴったりのお茶が選べるのが特徴。この商品「t to」ブランドを開発した株式会社播磨屋茶舗 常務取締役の赤松佳幸氏に商品開発の経緯を取材スタッフがうかがいました。
株式会社播磨屋茶舗 常務取締役の赤松佳幸氏
―赤松常務は現社長のご子息ですね。
赤松 そうです。私は大学を卒業して東京に本社があるフィットネスクラブを運営する会社に就職し、コンサルティングなどを担当しました。その後、当社とお取引がある三重県の製茶会社で働き、2019年に姫路に戻ってきました。当社は私の祖父が創業し、父が継いで現在社長を務めています。
―創業は1948年(昭和23年)とうかがいました。
赤松 姫路市で母方の祖父が始めたということは分かっていますが、姫路のどこで創業したのかがもう今や誰もわかっていません(笑)。創業後しばらくして久保町という戦争直後に闇市があり、様々な店舗が並ぶ市場の中に店を出しました。当時は物を作って置いておけば売れるという時代だったようで繁盛したと聞いています。また、大手スーパーマーケットと取引が始まり、その会社の成長とともに当社も成長していくことができました。
「t to」(5種セット)は5種類の様々なお茶が楽しめる。
―初代から、商売のあり方などうかがったことは?
赤松 祖父は亡くなり、祖母もあまり昔のことを話さない人なので商売の秘訣のようなことは聞けていないのですが、一つだけ母が祖父から聞いたのは、「時代に合った絵を描く」ことです。時代の状況に合わせてやっていくことが大切だと言っていたようです。
姫路はお茶の産地ではないので、当社は全国からお茶を仕入れて卸・小売り業をしていますが、お茶を売る会社じゃないとだめという縛りも特別ない感じで、時代に合わせてある程度自由にやればいいという感覚です。
―現社長の父上から学んでいることは?
赤松 父は母と結婚後、当社に入社しました。元は製造の仕事をしていたので、機械に強いのです。
ちょうど、日本茶もティバッグで飲む人が増えている時期で、約20年前、父はティバッグの加工工場を作りました。ティバッグの日本茶を作ったのは業界内でも早い方だったと思います。現在はスーパーマーケットに卸している日本茶の商品形態はほぼティバッグです。
―常務は日本茶をどのように飲んでいらっしゃいますか。
赤松 入社する前はペットボトルで飲んでいました(笑)。入社してからお茶の勉強を始めたのですが、まずティバッグで飲んですごくおいしいと思いましたし、若い世代にも手軽にお茶に親しんでもらえると思いました。本格的に勉強するようになってからは急須で淹れて飲んでもいます。
ペットボトルは外出時に飲むことができ、急須は家にいるときに飲むイメージがありますが、ティバッグならそのどちらの場合でも利用でき、その場で茶葉を抽出するのでおいしく飲むことができる利点があると思います。
―日本茶の勉強はどのようになさいましたか。
赤松 全国茶業連合青年団という45歳以下の茶業に従事する者の団体があり、年に1度、茶審査技術競技大会を開催して茶葉の産地を当てるなどの競技を行い、段が授与されます。私は最初はまったく何も分からなかったのですが、やっているうちに少しずつ分かってきて、おもしろくなってきています。茶葉は産地によって違いがあり、たとえば宇治茶は形が残った張りのある茶葉なので抽出に時間がかかります。濃く抽出されず水色が薄く、いかにも京都らしい雰囲気のお茶になります。それに対して静岡茶は日光が多く当たる土地でできるため、茶葉に渋みがあり渋みをなくすため深蒸しした茶葉が多いので水色の濃いお茶です。うま味よりも心地よい渋みがお好みの方にお買い求めいただいています。また福岡県の八女地方では生産地が狭い分、高級茶にシフトするなどそれぞれの土地の特徴を生かしたお茶が生産されています。現在、茶審査技術は10段あるうちの6段まで取得できたので、もっと勉強して上を目指したいですね。
播磨屋茶舗の人気商品「雪ふか」。味のバランスがよく甘味とコクがある(70g ¥1,080)。
―御社の看板商品は何でしょう。
赤松 「雪ふか」というお茶が人気です。鹿児島県の知覧茶「ゆたかみどり」品種のお茶で香りとコクの深さと、ほのかな甘みがあり味のバランスがいいお茶で、よく売れています。リピーターさんが多く、私もずっと飲んでいます。
また、昨年発売開始した静岡県の和紅茶「しずかおり」(30g ¥1,404)もさっぱりとした渋みと香りがあり清涼感のあるフルーティな爽やかさが感じられて人気です。
女子が喜ぶお茶をセレクトした「t to(5種セット)」。
(左上から時計回りに)ご飯がおいしくいただける「グリーンティ」、
リフレッシュできる「ジャスミンティ」、深く安らぎたいときの「ルイボスティ」、
溜め込みやすい人のための「コーンティ」、インナーケア効果が期待できる「VIT-Cティ」。
―常務が手がけられた「t to」についておうかがいします。
赤松 さきほど入社後に自社のティバッグ商品を飲んだときに本当においしいなと思ったことをお話しましたが、同時に若い世代にこのパッケージではどうだろうかと思い、友人にプレゼントできるようなパッケージに変えたらどうかと思いました。それが最初のきっかけで、新しいブランドを立ち上げたいと思いました。
どういうブランドにしようかと思ったとき、雑貨店にも置けて、お茶には興味がないけれど、“ジャケ買い”してもらえるような商品だったらいいなと思いました。提案のしかたも「緑茶」ではなく「ご飯に合うお茶」のような表現にしました。緑茶には多くの方に飲んでいただきたいと思い、馴染みやすい知覧茶を選びました。次に20~30代の女性の健康をサポートすることも考え、ジャスミン茶、ルイボス茶、とうもろこし茶をセレクト。そして柿の葉茶にほうじ茶を加えて飲みやすくした混合茶「ビタミンCティ」、ごぼうに芽ほうじ茶を加えた「ごぼう茶」を2021年に発売開始しました。このうち最初の5種類をセットにしたのが「t to5」です。
ティバッグは茶葉がバッグの中で対流し、抽出しやすい形状のフィルターを使用。植物素材で生分解性に優れている。
―ティバッグにはどのような工夫がされていますか。
赤松 ティバッグはフィルターと紐、紐とタグを圧着して製造しますが、フィルターと紐の圧着が大変難しい職人技とも言うべき技術で、圧着が強すぎるとはがしたときにフィルターが破れてしまい、弱いと外れやすく紐が絡まってしまうので、その日の気温や湿度を考えて圧着強度を変えています。フィルターの材質もマイクロプラスチックの生態系への影響を考え、とうもろこしを原料にした環境負荷がかからないものを使用しています。
キャッチーでユーモラスなタッチのイラストもこの商品の特徴。
―細部にまでこだわっているのですね。パッケージも斬新です。
赤松 デザイナーさんと相談して、お茶のパッケージとしてこれまでにない色をと思い、グレイを基調にしました。これに黄緑色のシールを合わせ目立つようにしました。イラストは人がおにぎりをお手玉にしたりするなどのキャッチーな図柄ですが、これは日本に古くからある“素朴絵”と呼ばれる流れを引いたタッチのイラストで、そこから日本茶の歴史や伝統を感じていただけるかと思っています。
(上段左から)「緑茶」、「ルイボスティ」、
(下段左から)「ジャスミンティ」、「コーン茶」「柿の葉茶×ほうじ茶」の茶葉。
すべて熱湯を入れて1分でできるようになっている。
―隅々にまで工夫が凝らされていますね。
赤松 また、お茶によって抽出時間が違うと飲む方が分かりにくいと思い、この「t to5」セットはすべて湯を注いで1分でおいしいお茶が抽出できるようにしています。当社の直営店、オンラインショップ、雑貨店で購入できますが、「パッケージがかわいい」「おいしい。この商品でペットボトルを飲まなくなった」などの反響をいただいていてうれしいですね。
より日本茶を深く知ることができるワークショップ「茶歌舞伎」を店舗で開催。
―今後の展望、また消費者の方へのメッセージをお聞かせください。
赤松 日本茶はじめお茶をもっと気軽に飲んでいただけたらと思います。お茶に親しんでいただくために、当社では随時「茶歌舞伎」というワークショップを開いています。「茶歌舞伎」とは鎌倉時代に始まったお茶を飲んで種類などをあてるゲームです。お茶1種類を飲むより数種類を飲み比べてどんな味かを話しながら、違いを感じていただいています。私自身もそうでしたが、最初は分からなくても飲んでいるうちに違いが分かる瞬間があってとてもおもしろいです。このような催しで多くの方に日本茶の魅力をお伝えしていきたいと思っています。
―奥の深いお茶を手軽に飲める商品開発の工夫に感銘いたしました。本日はありがとうございました。
「t to5(5種セット)」
価格:¥745(税込)
店名:播磨屋茶舗オンラインショップ
電話:079-298-0007(9:00~16:00 土日祝休み)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://t-to.jp/products/t-to-5-1p
オンラインショップ:https://harimaya.shop-pro.jp/
※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。
<Guest’s profile>
赤松佳幸(株式会社播磨屋茶舗 常務取締役)
1993年兵庫県姫路市生まれ。茶審査技術六段。大学卒業後、株式会社カーブスジャパンに入社。2019年家業である株式会社播磨屋茶舗に入社。20年近く赤字が続く状況への危機感から中川政七商店のブランディング講座を受講。2021年にティーバッグブランド「t to(ティートゥー)」を立ち上げる。現在は、お茶のテロワールを楽しめる人を増やせるように「茶歌舞伎」などのイベントを行なっている。
<文・撮影/今津朋子 MC/木村彩織 画像協力/播磨屋茶舗>