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選び抜いた国産鰻使用の「せいろ蒸し」。レンジ加熱だけで福岡柳川の美味が食卓に。

2025/01/14

夏だけでなく、秋や冬、じつは一年中おいしいのが鰻。鰻が名物といわれる土地がいくつかある中で、今回アッキーこと坂口明子編集長が気になったのは、川下りの情緒ある風景でも知られる福岡・柳川発祥のせいろ蒸し。厳選された国産鰻は、脂ののり方が絶妙でやわらか、レンジでチンするだけで家庭でお店の味が食べられるという商品について、製造元の株式会社柳川屋 取締役副社長の安永幸滋氏に取材陣がお話をうかがいました。

株式会社柳川屋 取締役副社長の安永幸滋氏

株式会社柳川屋 取締役副社長の安永幸滋氏

―福岡を離れておられた時期があったそうですね。

安永 福岡で生まれ育ち、金融の勉強がしたくて東京に行き、金融系の会社に入って、大阪、広島で営業の仕事をしていました。ですが、働いて半年ほどで、バブル崩壊の影響から事務所が閉鎖され、福岡に戻ることになりました。一度外に出てみて、福岡の良さも感じるようになっていました。

―創業はお父様が?

安永 1960年に父・安永富士男が柳川から福岡の中洲に「うなぎ柳川屋」として店舗を出したのが始まりで、まもなく65周年です。店を出すなら柳川の郷土料理はどうかということで、鰻を出したんです。当時柳川のほうでは「うなぎめし」と呼んでいましたが、蒸して調理するので「うなぎせいろ蒸し」と父が命名しました。幼少の頃は、自分が後を継ぐんだろうと思っていましたが、成長するとレールの上を進むことに抵抗し、反発するように外に出ました。結果としていい勉強になったのですが、外に出ていた足掛け10年ほどの間、同族で会社を守ってくれて、戻ってきた時は「これまでの経験を遺憾なく発揮して励みなさい」と言ってもらいました。

―飲食とは異なるお仕事からの転職ですね。

安永 金融や不動産を経験したおかげで、お金のありがたさを知り、融資なども金融組織の観点から考えることができました。店舗を出す時も、リサーチや自分の考えが反映されることにもつながりました。

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福岡市中洲にある本店の店舗。

―仕事をされる上でのモットーは?

安永 お客様に我々の商売をお伝えし、鰻という専門料理を後世に残していけたらと思いながら、研究や商売に取り組んでいます。鰻業界には老舗が多く、我々は若いほうです。老舗にはできないことを積極的に取り入れられるのが強みですので、キッチンカーなど新しい取り組みをしようという考えやバイタリティのある会社だと自負しています。社員の平均年齢だけ見ると、じつは60歳くらいなのですが、20代の若い社員もいて、今まで通りの経営では、おもしろみがあるのかとも思っていますし、通販等には積極的に取り組んでいます。そうでなければブラッシュアップができませんし、楽しく仕事をする環境が作れないと経営陣は考えています。

―商品のリーフレットにあるQRコードはTikTokにつながりました。楽しいし、新しいですね。

安永 柳川の子守唄等音楽をバックに文字を書いていく動画です。弊社代表の娘が、そのような動画を作ることを生業にしているので、待ち時間の間に見ていただけたらと作りました。遊び心があるかなと。

―「うなぎ焼き職人」の写真と「うなぎ産地証明書」もありました。

安永 安心安全はもとより、どういう人が焼いているのかをお見せして、真心込めて作っていることをお伝えしたいと思ったんです。

―飲食の店舗の歩みも教えてください。

安永 店舗のほうは博多に出して拡張し、また業務用の冷凍のうなぎせいろ蒸しを寿司店に卸すこともしていました。ただ、20数年前から、鰻の赤ちゃんであるしらすの不漁が続いて最盛期の10分の1になるほど、激減してしまいました。海水温の上昇など、生み落とされにくい環境が原因かと思います。

―厳しい状況ですね。

安永 そうなると、これから鰻だけの商いをやっていけるのかということになり、視野を広げて新しいことを始めようと、豚肉や牛肉を使った肉料理専門店を、2007年に中央区春吉に出しました。「金蔦」という店舗で、博多炊き肉鍋として、シルクハットを反対に向けたような鍋を弊社社長の安永清美が考案し、その鍋を使って肉と野菜をテールスープで味わう鍋にしたんです(意匠登録・商標登録済み)。当初は厳しい状況でしたが、今で言う「映える」鍋がメディアの目に止まって取材も増え、1、2年後にはスケールアップできました。

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冷凍または冷蔵で届き、(冷凍の場合は解凍後)レンジ加熱するだけ。熱々のせいろ蒸しができあがる。

―「うなぎせいろ蒸し」の通販はいつからですか?
安永 積極的に行うようになったのは、ここ7、8年です。コロナ禍では、ご自宅で食事されたり贈答をされたりと、需要が伸びました。本当は店で熱々を食べていただくのがせいろ蒸しの醍醐味ですから、できるだけご自宅で実体験していただけるように、器から米の浸水時間から、数十、数百通りの実験を重ねました。すべてが一体にならないとおいしいせいろ蒸しはできないんです。従業員も持ち帰って実験し、そのレポートを集めてはまた実験という具合で、解凍しレンジ加熱することで、お店同様の味が復元できたんです。
木製の箱は、米の水分を木の箱が調整してくれるので、タレの具合や米の水分がよくなって、全体がおいしくなります。プラスチックやスチロールではそうはならないんです。

―米は?
安永
 もち米が入っていると思われがちですが、うるち米だけ。契約農家で生産されるものが100%です。鰻は南九州産。自社のタレで融合し、錦糸玉子と合わせることで一体となり、最高のおいしさが生まれます。年に数回は鰻の生産者さんとお会いし、大きさや厚み、蒲焼の焼いた感じなど意見調整をしているんです。産地証明書を付けているように、ここという養鰻場に通って「分けてください」とお願いし、その中からさらに厳選しています。

―毎日状態を見ておられるのですね?
安永
 毎日40~100Kgの鰻が届き、それを1尾1尾水を打たせて泥をはかせます。届いた時に状態を見ると、脂は多いか少ないか、臭みはあるかないか、硬いか柔らかいか、7割良し悪しはわかりますし、1本さばくとよくわかります。目利きは大事です。養殖の技術が進んだといっても、1尾ずつDNAが違いますから、よく見て店用、通販ギフト用に分け、固いものなどは佃煮にして、余さないように使い切るようにしています。

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毎日目利きの力を発揮。上質のものを選び使い切る。

―せいろ蒸しは冷凍と冷蔵が選べて、鰻の量も2種類あって注文しやすいですね。

安永 鰻は年配の方が食されることが多く、若い方からは値段のこともあって敬遠されがちでしたが、若い方にも食べていただけるように、いろいろ研究していきたいと思っています。若い方がご両親に贈られたり、お中元・お歳暮に使っていただけたりするようになればと。

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錦糸玉子が中央にのった「うなぎせいろ蒸し(上)」と、
鰻と玉子をバランスよくのせた「うなぎせいろ蒸し(並)」。冷蔵、冷凍を選べる。

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鰻の漁について紹介した包装紙。

―タレと山椒が付き、味の変化も楽しめます。

安永 ご飯も蒲焼も味がしっかりしているので、もともとは付けていなかったのですが、タレが欲しいというお声もあり、5、6年前から付けています。山椒は昔から鰻には付き物で、うちでは飛騨高山の純国産の実をすりおろしたものを仕入れています。

―鰻は秋冬が旬だそうですが。

安永 7、8月が旬のように言われますが、年に4回丑の日がありますし、10月頃から鰻は身動きをしなくなり中に脂を保とうとする習性があるんです。脂持ちがよくてしつこくなく、ちょうどよい脂がのるのは秋冬といわれます。朝さばいた時に、冬はしっとりとした良い脂、夏はけっこう濃いめ。養鰻場ではどの時期もおいしいように水分、温度、餌を調整していますので、ほとんど変わらないのですが。最近そんなことをご存知の方も増えて「冬の鰻はうまいね~」と言いながらお越しになることもあります。

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秋や冬の鰻もおいしい!年4回の丑の日に食べ比べてみたい。

―今後の展望をお聞かせください。

安永 まずはより良い商品づくりを日夜続けること。鰻、米の生産者さんとより濃い結びつきを持って良いものを作っていきたいと思います。また鹿児島のある鰻屋さんからブランド鰻のご提案があったので、ぜひやりたいと取り組んでいます。天然鰻に近い鰻を作ってくださいとリクエストして、試行錯誤をしていただいています。うちで研究して作り上げたと言える商品を、より多くの方にお届けできたらと思います。早ければ2025年の夏か、年末までにはリリースできたらと思います。チャレンジングなことが好きですし、柳川屋にしかできないことを考えていきたいと思います。博多に来られたらぜひ食べてみてください。

―10年、20年後も新しい挑戦が目に浮かびます。本日はありがとうございました。

うなぎせいろ蒸し(上)/ご家庭用

「うなぎせいろ蒸し(上)/ご家庭用」(390g)※冷凍/冷蔵
価格:¥2,948(税込)
店名:柳川屋
電話:092-938-7800(9:00~17:00 土・日・祝日・年末年始除く)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://yanagawaya.shop/items/633bc3acf519735f78c6659f
オンラインショップ:https://yanagawaya.shop

うなぎせいろ蒸し(並)/ご家庭用

「うなぎせいろ蒸し(並)/ご家庭用」(350g)※冷凍/冷蔵
価格:¥2,041(税込)
店名:柳川屋
電話:092-938-7800(9:00~17:00 土・日・祝日・年末年始除く)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://yanagawaya.shop/items/633bca58c92c5d69863bd692
オンラインショップ:https://yanagawaya.shop

※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。

<Guest’s profile>

安永幸滋(株式会社柳川屋 取締役副社長)
1965年福岡県生まれ。金融について学び、金融関連の仕事を経て、1996年にパートアルバイトとして株式会社柳川屋に入る。3年間のマネジメント、調理などの修業期間を経て1999年に入社。2018年取締役副社長に就任。

<文・撮影/大喜多明子 MC/菊地美咲 画像協力/柳川屋>

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