東北地方でミニカップゼリーといえばこれ!「メン子ちゃんミニゼリー」
2025/01/31
今回編集長アッキ―こと坂口明子が気になったのは、東北っ子たちの定番おやつ。地元ファンの声に応える形で生産者が奮起し復活した、昔ながらのミニカップゼリーです。株式会社アキヤマ 代表取締役社長の足利芳則氏に、取材陣が伺いました。
株式会社アキヤマ 代表取締役社長の足利芳則氏
―「メン子ちゃんミニゼリー」と御社の歴史をお聞かせください。
足利 メン子ちゃんミニゼリーは、1981年から秋山食品という会社で製造していました。「メン子」は東北地方の言葉で「小さい子」「かわいらしい子」という意味がありまして、そういった子どもたちのために作られました。東北では、ポーションタイプのミニゼリーを総じて「メン子ちゃん」と呼ぶほど浸透しています。長い歴史があり、3世代にわたって愛されている商品です。
東北地方の子どもたちに絶大な人気を誇るおやつ。
しかし、秋山食品は2007年に経営破綻し、メン子ちゃんゼリーの生産は止まってしまいました。当時生産部次長だった私を始め、従業員は全員解雇。失業保険を頼る日々で感じたのは、このまま終わらせてはダメだということでした。志を共にする十数名で株式会社アキヤマを起こし、再び「メン子ちゃんミニゼリー」の生産を開始したのが2008年です。
-再興といっても簡単じゃなかったのでは?
足利 まず工場を動かすのに必要な人に声をかけていきました。手あたり次第というわけにはいかず、機械を動かす知識や技術などをもったキーマンとも呼べる選抜メンバーに。資金はなく、負債を残した会社の後継とは取引してもらえないこともあり、明日の商品を作るための原材料をどうやって調達しようか、毎日頭を悩ませていました。
なんとか融資を受け生産できるようになったものの、次は流通の問題に当たります。ブランクの間に、ミニゼリーの棚には他社製品が並んでいました。倒産した会社の商品は置けないと言われたこともあります。それでも、前の会社はそれとして、また作り始めたのならお付き合いしましょうと言ってくださる問屋さんが、一つ二つと出てきたのです。そこからいろいろな商品を作りながら、なんとか販路を広げていきました。
-予期できたご苦労かもしれませんが、あえて再建を目指されたのは?
足利 「メン子ちゃんゼリーはもうないの?」「いつ再開するの?」というお客様の声が、小売店、問屋を通じて耳に入ってきました。元社員たちも、これほどまでに東北で名の通った商品を途絶えさせたくないという想いをもっていました。そして、私自身、逆境になると「一丁やるぞ!」という気持ちになる性分なんですね(笑)。金策にしても工場の再稼働にしても、いろいろ調べる中で可能性を感じました。家族の理解があって一歩踏み出せて、本当によかったと今思っています。
-新生「メン子ちゃんミニゼリー」についてお聞かせください。
足利 基本的には同じ機械を使っているので製法は同じです。アキヤマになって、少し果汁を増やしてフルーツの味は濃くなったと思います。2008年当時で、発売から30年近くがたっているロングセラーだったので、消費者が口にして気づくほどには大きく変えていません。
秋山食品時代の機械を再稼働。シート状のプラスチックを、熱を加えて金型で押してカップ型にし、
混ぜ合わせたゼリー液を流し込み、ヒートシールをして1個1個打ち抜くという工程。
ゼリーは、食感が特徴の一つなので、ゲル化剤の選び方がポイントになります。蒟蒻ゼリーのように歯ごたえのしっかりしたものやトロトロのものなどいろいろある中で、アキヤマのゼリーは、喉に詰まる心配のないくちどけの良さが身上。ゲル化剤はアキヤマ専用に作ってもらっています。果汁が多めのフルーティーな液が柔らかいゼリー状になることで、一層ジューシーに感じられるのではないでしょうか。
ちゅるんと飛び出るゼリーはくちどけよく食べやすい。
味のバリエーションは、パイン、アップル(青リンゴ)、オレンジ、グレープ、ストロベリーの5種類で、同じような商品の中では多い方だと思います。種類がたくさんあった方が楽しいじゃないですか。1袋に20個入っていますが、ランダムに入っているので、店の棚から自分の好きな味がたくさん入っているのを選ぶ楽しみもあります。
味のバリエーションは5つ。
-どのように楽しんでもらいたいですか?
足利 最初の発売から2025年で44年となる息の長い商品です。今の子どもたちはもちろんのこと、親世代、おじいちゃんおばあちゃん世代が食べていたかもしれません。お弁当に入れたり遠足のおやつにしたり、お供え物にしたり。おばあちゃんの家で、菓子鉢にいろいろなおやつが山盛りになっている中に決まって入っているのがメン子ちゃんミニゼリーだったりもします。いろいろな想い出とともにある商品だと思っています。世代を超えて愛されるような、子どもの笑顔を繋ぐものであってほしいですね。
「おやつにメン子ちゃんミニゼリーが出ると嬉しくなる」という東北人多数。
-同じように東北民のソウルフードともなっている夏の定番品があるとか?
足利 1975年から発売されている「ミルちゃんフルーツ」というポリエチレン詰清涼飲料です。地方ごとに「チューチュー」とか「ポッキン」など呼ばれ方が違うようですが、東北地方では「ミルちゃん」です(笑)。ミルク(脱脂粉乳)の量がとっても多いので、凍らせてもシャリシャリしています。あっさり甘酸っぱいヨーグルト味、ストロベリー味、青りんご味、オレンジ味の4種類があり、冷やしてそのままドリンクとしても、凍らせてアイスキャンデーとしてもおいしいです。
凍らせて半分に折って食べるのが定番の食べ方。
-今後の展望をお聞かせください。
足利 世代を継いで愛される商品を作りつづけていくために、守るものと時代の変化に対応すべきことを見極める必要があると思っています。例えば、昨今叫ばれている食品の安全性を担保するために、我々は4年前にFSSC 22000認証を受けました。ISO 22000を追加要求事項で補強した食品安全マネジメントシステムに関する国際規格で、社員二十数名規模の会社にとってはとてもエネルギーがいる作業でした。
しかしこれを受けたことで、例えば脱炭素社会の実現に取り組むことも含めて、SDGsの課題解決に関与していく必要性といった、発展した考えをもつことができるようになりました。海外にも通用する品質をキープし、お客様に安心して召し上がっていただける商品づくりをしていきたいと思っています。
小さな会社ですから、社長である私が自ら率先して取り組んでいかなくてはと思っています。毎日、会社に来るとまず作業着に着替えて、工場に立ちます。社員とも密にコミュニケーションを取りながら、小さな問題を見逃すことなく、私が先頭になって改善していくという形を続けていきたいと思っています。
-素晴らしいお話をありがとうございました!
「メン子ちゃんミニゼリー」
価格:¥4,000(税込/16g×20個入り×15袋)
店名:メン子ちゃんミニゼリーの株式会社アキヤマ
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:http://akiyama2008.co.jp/catalog.html#pp_img_1394
オンラインショップ:http://akiyama2008.co.jp/catalog.html#pp_img_1394
「ミルちゃんフルーツ」
価格:¥3,150(税込/70ml×10本入り×12袋)
店名:メン子ちゃんミニゼリーの株式会社アキヤマ
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:http://akiyama2008.co.jp/catalog.html#pp_img_1411
オンラインショップ:http://akiyama2008.co.jp/catalog.html#pp_img_1394
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<Guest’s profile>
足利芳則(株式会社アキヤマ 代表取締役社長)
1958年岩手県生まれ。岩手大学卒業後、建設会社を経て株式会社秋山食品に入社。工場長等を歴任するも2007年会社倒産。2008年株式会社アキヤマ設立、代表取締役社長就任。メン子ちゃんミニゼリー等の主要商品を復活させる。2021年、食品安全マネジメントシステムFSSC22000認証取得。
<文・撮影/植松由紀子 MC/田中香花 画像協力/アキヤマ>