
アイスに添えたり、お湯を注いでお汁粉にも。手軽にあんこが味わえる「十勝あん」
2025/02/06
冬になると、あんこが恋しくなりませんか?特に、北海道の十勝地方で育った小豆を使ったあんこは、風味、味わいともに上質で、あんこ好きな方々に好まれています。とはいえ、自宅で炊くのは少し大変です。今回、編集長アッキーこと坂口明子が気になったのが、小豆をおいしく炊き上げ、袋詰めにした「あじまんの十勝あん」。なぜこの商品が誕生したのか、株式会社あじまん 代表取締役社長の佐藤友紀氏に取材陣が伺いました。

株式会社あじまん 代表取締役社長の佐藤友紀氏
―まずは佐藤社長のご経歴についてお聞かせください。
佐藤 私は山形で生まれ育ち、県内の高校を卒業後、大阪に本社を置く経営コンサルタント会社の名古屋の中部支社に勤務しました。クライアント様の会社運営を良くするために相談に乗ったり、社員様の教育を行ったりする仕事ですね。その後、東京のヘッドハンティング会社でも約2年勤めました。
―山形に戻られたのは?
佐藤 「あじまん」は両親が始めた会社で、当時はまだ会社を継ぐタイミングでなかったのですが、母が病気で亡くなったので、山形に戻って「あじまん」に入社しました。また、その1年後に今度は先代社長であった父も病気で亡くなったため、そのまま社長に就任しました。1994年のことです。
まさかこんなに早く社長になるとは思っていなかったのですが、入社当時から特定の業務をやるというより、全体を見ていろんなことに挑戦していましたし、現在副社長を務めてくれている社員が私と同じ日に「あじまん」に入社したもので、彼と若い頃から会社の改革みたいなことをやっていました。
―御社は創業が1965年。初めからあんこの会社だったのですか?
佐藤 最初はスーパーマーケットです。今から60年ほど前、先代が28歳の頃ですが、何か商売をやりたいということで、自宅の隣にあった銀行の支店長に「商売をやりたいがどうすればいいか」と聞きに行ったそうです。すると、「東京でスーパーマーケットを見てきなさい」と。1962、3年頃から東京ではスーパーがグイグイ来ており、実際に見に行ったところ、「これはいい」と感じたようで、天童市で初めてのスーパーケットを創業しました。

天童市内で初めてのスーパーマーケットとなった「やませストア」。
写真はあじまんの紹介VTRより。
佐藤 おかげさまですごく繁盛して、様々な業者さんがものを売りに来たそうです。そしてある日、年配の女性が持ってきた北海道の小豆を先代が購入し、それを小袋に入れて販売を始めました。そのうち、「せっかくいい小豆があるのだから、自家製のあんこを作ってみよう」と考えたのです。
スーパーのお客様は、大半が近所の主婦の方でした。そこで、買い物帰りに家で待っているお子さん、お孫さんに喜んでもらえるあんこを使ったおやつが作れないかと考え、スーパーの店先で大判焼きを実演販売したところ、非常に人気となったのです。
スーパーは最初から上手くいったため、先代は経営や商売の勉強をする暇もなく、3店舗を展開したものの、その後は競合がバンバン出てきて1974年に店を閉めることになりました。
一方、スーパーは閉めても評判が良かった大判焼きについては、母がスーパーの跡地に小屋を置いて営業を続け、わざわざ遠くからもお客さんが来てくれるような繁盛店になりました。そこで父は1980年に大判焼きの店をチェーン化していくことを発想し、スーパー様やホームセンター様に場所を借り、店舗を展開したのです。先代は、「ビジネスにしたのは自分だけども、その商品を作ってくれたのは母」と、常々感謝していましたね。
そんなある日、先代が車で信号待ちをしていた時、居酒屋さんの赤ちょうちんに、大きな文字で「味自慢」と書いてあるのが見え、「うちの大判焼きも、自家製のこだわりのあんこを使った味が自慢のまんじゅうだな」と思ったことから、「味が自慢のまんじゅう」、「あじまん」というネーミングをひらめいたということです。会社名も「あじまん」、大判焼きの名前も「あじまん」です。

先代夫妻が二人三脚で販売・店舗展開をしてきた「あじまん」。
―その後、一気に店舗も拡大されたのですね。
佐藤 スーパー様に場所を借りて、1980年に17店舗を出しました。現在は全国に250店舗ほどを展開しています。
―「あじまん」には今も十勝産の小豆を使われているのですか?
佐藤 もちろんです。十勝産以外の小豆は一粒たりとも使っていません。小豆といえば北海道。それも十勝産が一番おいしい。おいしいとは、味と香り、風味が豊かだということです。
農作物は土と太陽、気象条件に左右されます。十勝は真冬がマイナス20度、夏が30度と、寒暖の差が年間で50度もある土地です。人間には過酷ですが、小豆にとっては香ばしさや風味、甘さが生まれます。
―あんこは山形県で製造しているのですか?
佐藤 そうです。「あじまん」の店舗は全国にありますが、あんこは山形県の天童市にある本社の工場で一貫して作っています。

十勝産小豆のおいしさをそのままあんこに仕上げた「十勝あん」。
―御社のあんこの特長は?
佐藤 糖度が超・控えめであることです。「甘さ控えめ」と謳っているあんこはたくさんありますが、自ら北は北海道、南は九州、沖縄まで、大判焼き・今川焼き・たい焼きを食べ歩いて糖度を測った結果、低いもので47、48度、ちょっと甘い感じがするものは55度ほどありました。対して弊社のあんこは42度。それでもしっかりおいしいのが特長です。また保存料や着色料といった添加物も使わず、ほぼ小豆と砂糖だけの無添加のあんこです。
―「あじまん」は、どれくらい大きいのですか?
佐藤 直径7センチぐらいでしょうか。正直、弊社のものより直径が大きい大判焼きはたくさんありますが、弊社の大判焼きは厚みがあり、中に詰まったあんこの量が75gあります。一般的には50g程度なので、満足度の高い大判焼きをご提供できていると思います。皮も超薄皮で、あんこをダイレクトに味わっているような感覚が楽しめます。

この通り、自慢のあんこをぎっしりと詰めた「あじまん」。
店頭ではなんと1個120円で販売。
―そのあんこだけを袋に詰めて販売した商品「十勝あん」の、おすすめの楽しみ方はありますか?
佐藤 冬場、特にお正月にはお餅に添えていただくのが一番。ちなみに山形では12月20日前後の冬至の時に、カボチャにあんこを絡めて食べる風習があり、この時期にも「十勝あん」が非常に売れます。個人的には、バニラアイスと一緒に味わうのも好きです。
また弊社の「十勝あん」は、お湯を注いで混ぜるだけでお汁粉になります。白玉やもちを好みで入れて、ぜひ楽しんでいただきたいですね。昔は「あじまん」の店舗でもこの即席お汁粉を作ってお渡ししており、とても好評でした。

手間がかかるイメージの「ぜんざい」も、あっという間に完成!
―インターネットで販売を始めたのはいつ頃ですか?
佐藤 6年前でしょうか。店舗での売上が好調でしたので、社員が「ネット販売にもチャレンジしてみましょう」と。コロナはあまり関係がなかったですね。
―最後に今後の展望についても聞かせてください。
佐藤 実は「あじまん」の店舗は、毎年10月から3月までの冬限定です。“冬のおやつ”ということで、各地のスーパー様、ホームセンター様の前の小さな店で、女性の社員さんがこだわりの「あじまん」を一生懸命実演販売してくれています。先ほどからもお話ししているように、「あじまん」は、先代が残してくれた日本一の大判焼き。その冬のおやつをさらに多くの地域の方に食べていただけたらと思っています。

山形県を中心に、東北、関東、新潟、中国、九州に約250店舗を展開中。
佐藤 合わせて袋入りの「十勝あん」という商品にも自信を持っています。まずは一度味わって頂くと多くのお客様がリピーターになります。会社の売り上げ云々というよりも、本当においしいものを提供したいというのが弊社の思いなのです。
―「今後も先代の味を守り、そのバトンを次に渡すのが私の務め」と、佐藤社長。まるで大判焼きのように温かく、皆が笑顔になれるお話をありがとうございました!

「十勝あん」(1袋500g)
価格:¥430(税込)
店名:あじまん山形天童 楽天市場店
電話:0077-78-1144(8:45~17:45)
定休日:なし ※季節営業の為、4月~9月まで販売休止
商品URL:https://item.rakuten.co.jp/ajimanhonpo/10000000/
オンラインショップ:https://www.rakuten.co.jp/ajimanhonpo/
※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。
<Guest’s profile>
佐藤友紀(株式会社あじまん 代表取締役社長)
1964年12月16日山形県生まれ。山形市立商業高等学校卒業後、タナベ経営中部支社に勤務。
1994年に株式会社あじまん入社、翌1995年に代表取締役に就任。
<文・撮影/鹿田吏子 MC/田中香花 画像協力/あじまん>