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伝統の醤と製法で仕上げた「参宮あわび」の名店・「伊勢せきや」が作る本格炊き込みごはんの素

2025/03/06

伊勢神宮外宮の参詣道に本店がある「伊勢せきや」は、本格的な祝儀物として用いられる「参宮あわび」で知られる名店です。今回、編集長アッキーが注目したのは、その伝統のたれと製法で作られる「ごはんの素」です。贈答はもちろん、自分用に買い求める人も後を絶たないという逸品について、株式会社関谷食品の2代目代表取締役である関谷充司氏に取材陣がお伺いしました。

―御社の沿革を教えてください。

関谷 先代である父が、神戸でいわゆる「珍味」の修行をしておりまして、その後、伊勢に拠点を移して「関谷商店」として創業したのが1957年(昭和32年)のことです。当時、伊勢ではさざえやあわびがたくさん採れていて、海産物が大変豊富だったのです。今は漁獲高が激減して、仕入れなどは輸入も含めて工夫が必要になっています。

私は2代目となりますが、大学卒業後コンサル会社に勤めた後に入社し、東京日本橋にあった直営店での勤務や営業部長を経て、2002年(平成14年)、42歳の時に社長に就任しました。「おいしい」だけでは成り立たない時代にあって、力を入れてきたのはブランディングで、会社のイメージをどう作っていくかということをずっと考えてきました。

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伊勢神宮の外宮参道にある「伊勢せきや」本店。
お店のコンセプトも関谷氏によるもの。

―代表的な商品といえば、やはりあわびですね。

関谷 「参宮あわび」という商品がありまして、当時製法特許も持っていたのですが、あわびをとても柔らかく煮ることができる方法を父が考案しました。普通、あわびは火にかけるとどうしても縮こまって硬くなってしまうのですが、独自の脹煮(ふくらに)製法によりふっくらと煮あげています。

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厳選したあわびを一子相伝のたれをたっぷり使って独自の脹煮製法で煮あげている。
あわびは古来より「のしあわび」の言葉どおり、
喜び事、祝い事の贈物に添える寿の品として本格的な祝儀物に用いられる。

伊勢神宮のそばということで、やはりお土産需要が多いのですか?

関谷 昭和の頃にはお中元・お歳暮としてデパートでの展開が主でした。ただ、そういった習慣も今はだんだんなくなりつつありますから、観光のお土産品というのと二軸になってきています。

将来的には、ご自分で食べていただく商品へスライドしていかなければいけないだろうと思っています。生活者の嗜好に合わせて、色々なものを取り揃えていかなければいけないと感じます。食のバラエティショップというようなものを、仕入れではなく、自社商品で全部作ってしまおうという方向に、今は向かっています。

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伊勢志摩ゆかりの海の幸をふんだんに使った
伊勢志摩XO醬 餐(熊谷喜八シェフ監修)やオイル漬などの商品もある。
中華やパスタなど用途が広がる。

今回ご紹介いただく「ごはんの素」について教えてください。開発は社長自らですか?

関谷 基本的には自分が食べたいものからアイデアを発想しています。「あわびごはん」は26歳くらいの時に開発したもので、当時は、まだ世の中にこのような魚介を楽しむ炊き込みごはんの製品はありませんでした。そしてまた、味が引き立つように具材と出汁を別々にパックし、分かりやすく美しく仕上げた製品は弊社が初めて開発したのではないかと思います。少なくとも40年前に見たことはありませんでした。これも、子供の頃、炊き込みごはんが好きだったことがきっかけかもしれません。

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炊き込みごはんのセット内容。あわびは別添となっていて、
ごはんが炊き上がってから上にのせることができる。

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土鍋で炊くことをおすすめ。秘伝のたれが香ばしく、ごちそう感も高まる。
あわびを後からのせることで、見た目にも豪華に。

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人気の3点セットでは、
「あわびごはん」「めで鯛ごはん」「帆立ごはん」を楽しむことができる。

関谷 「あわびごはん」は特に人気が高く、お土産はもちろん、自分用に買っていかれる方も多い商品です。こちらでも十分おいしいのですが、さらにグレードの高い「姿煮あわびごはん」や「伊勢志摩鮑ごはん」もおすすめです。これはもう料亭の味と言っても過言ではないと思います。また、シーズン限定にはなりますが、「本ずわい蟹ごはん」もおいしいです。カニ味噌を隠し味に入れていて、カニの濃厚な味がする逸品です。春には「蛤と筍の炊き込みごはん」も出てきます。限定商品ですからプレゼントにも最適ですし、毎年完売してしまう人気商品です。

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こちらは「姿煮あわびごはんの素」。さらにゴージャスに、
丸ごとあわびが入っており目上の方へのプレゼントなどにも最適。

本店で釜飯をいただくこともできますね。建物もとても素敵です。

関谷 本店の建物は、伊勢建築を取り入れたものになっています。特に天井が「格天井(ごうてんじょう)」というお城などに使われるような格調高いものになっていて、とてもきれいなので来てくださる方たちにも喜んでいただいていると思います。

その2階が「あそらの茶屋」という食事処になっています。日本神話に出てくる有名な海神・安曇磯良(あずみのいそら)からお名前を数文字拝受しました。朝粥や釜飯などをご提供しています。

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「あそらの茶屋」店内。「御饌(大切で尊い食べ物という意味)の朝かゆ」では、
さざえ、あわび、鯛、伊勢海老のお粥をいただくことができる。

企業として大切にしていることは?

関谷 日本の文化を継承していくということが自分自身のテーマです。2007年くらいにはCBCの放送枠があり、東海圏の伝統工芸師の方にスポットを当てた番組を自主制作しました。このままでは日本の伝統文化は消えていくのではないかという思いがあり、継承させるためにはやはり知っていただくことが一番かなという気持ちでした。この映像作品は『一芸一流 〜技ひとすじ〜』としてDVD化し、図書館や学校に寄贈もしています。

「里海創生応援プロジェクト」という取り組みにも参加しています。昭和40年代にはこの地方で年間350〜400トンくらいのあわびが獲れていましたが、直近だと30トンほどになってしまいました。そこで、あわびの稚貝の放流や、海洋資源の再生に向けた活動を行なっています。ただ、10年くらい活動していますが、成果は見えてきていないのが実情です。水質や水温の問題で餌の海藻自体がもうなくなっています。各方面のみんなで協力しないと再生はなかなか難しいと思います。

―今後のビジョンを教えてください。

関谷 やはり日本の伝統食文化を守りながら伝えていくということです。時代に合うようなアップグレードはしていきつつ、世界中どこも同じようなものばかりになってしまったら面白くないと思いますから、そこはちょっと逆行していきたいと思っています。

今度、工場を新しく建設しようという計画があります。その時には、農業もやろうかと思っているんです。農家さんと契約栽培をして、それを商材に仕上げて全国へ販売していく。そういうことができたら、地域に貢献できるのかなと思っています。そういう会社でありたいというのが理想です。

―おいしいものを作ることには、環境活動からプロモーションまで、さまざまな取り組みが必要なのだと教えていただきました。本日はありがとうございました。

ごはんの素3点詰め合わせ 祝

「ごはんの素3点詰め合わせ 祝」
価格:¥4,050(税込)※送料別途
店名:伊勢せきや online shop
電話:0120-00-0707(8:30~17:30 土日祝・年末年始、夏季休暇など休業日を除く)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://shop-sekiya.com/products/detail/144
オンラインショップ:https://shop-sekiya.com/

※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。

<Guest’s profile>

関谷充司(株式会社関谷食品  代表取締役)
三重県生まれ。大学卒業後、経営関連会社で経験を積み、関谷食品へ入社。2002年に同社 代表取締役に就任。2012年、式年遷宮を前にフラッグシップ店「伊勢せきや 本店」を伊勢神宮外宮前にリニューアルオープン、参拝の行き帰りに朝かゆなどが楽しめる飲食処「あそらの茶屋」を併設。伊勢志摩の海を守り育てていく里海創生応援プロジェクトの活動にも注力している。

<文・撮影/尾崎真佐子 MC/田中香花 画像協力/伊勢せきや>

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