
誕生したお子さんの幸せを願う、心のこもった「お食い初めセット」
2025/03/21
「お食い初め」は生後100日の赤ちゃんが一生涯食べるものに困らないようにと 赤ちゃんの健やかな成長を願い、縁起のいい食べ物や歯固め石などを用いて赤ちゃんに食べさせる真似をする日本の伝統的な儀式です。でも出産したばかりのお母さんがいる中で準備したり、外食したりするのは大変なので、最近では宅配のお食い初め膳を注文する家庭が増えています。アッキーこと坂口明子編集長も興味津々の「お食い初めセット」が人気の、有限会社久松、代表取締役の松田健吾氏に開発の経緯と工夫を取材スタッフがうかがいました。

有限会社久松 代表取締役 松田健吾氏
―松田社長のご経歴をうかがえますでしょうか。
松田 私は現在45歳ですが、1998年に家業である有限会社久松に入社して現在に至ります。非常にシンプルな経歴ですね(笑)。当社は1982年に私の父である松田五郎が仕出し屋として開業し、料亭やホテルにおせち料理などを納品する業務用食品製造販売会社として事業を行っていました。料亭やホテルから要望をいただいたものを作る卸売り業態でずっとやってきましたが、社会状況も変化していく中、2004年にインターネット通販事業を始めました。大手通販サイトに出品して小売りの事業を始めたという流れです。


博多久松は2004年からおせち料理のインターネット販売を開始した。
―おせちを始めたのはどうしてでしょう。
松田 うちの父は、もともとは料理人から起業しましたので、懇意にしている料亭やホテルの料理長さんの人脈があり、調理場がどのようなことで困っているかがよくわかっていました。料理人さんたちは秋の婚礼シーズンが終わると、次は冬の忘年会があり、それが落ち着いたころには板場は疲弊しています。そこでまたおせちを作って売るとなると料理人さんたちの負担は大きいのです。父はそこでおせちの製造販売を提案して営業をかけ、業績を伸ばしていきました。
―オンラインでの販売を始めたきっかけは?
松田 私は高校を出て当社に入社しましたが、特に強い意志があって継いでいこうというメンタリティがあったわけではありませんでした。ただ、仕事をしていくうちに会社の現状などを意識するようになり、既存の事業だけではまずい、尻すぼみになっていくだろうという思いがあったので新規事業としてインターネットでの販売部門を立ち上げました。「久松」に創業の地である「博多」と地名を入れ、「博多久松」というブランドを立ち上げました。
―手応えはいかがでしたか。
松田 当時、インターネット販売は、データベース化されておらず、アクセス数などが不明で、本当にお客様に見ていただいているのかも分かりませんでした。しかし、とりあえず大手ECサイトに新年用のおせち料理を90個リリースしてみましたら、1日で3セット売れ結局、1週間ほどで全部が売り切れました。そのとき、インターネットで物が売れるというのを実感しました。当時、当社のような小規模の会社が小売りに進出する場合、店舗を開く以外方法がありませんでした。店舗を開設するには資金やノウハウが必要ですが、それらがない場合は選択肢がありません。
インターネット通販は当社のような規模の企業でも工夫をし、労力をかけていけば勝負できる商圏だということが分かりました。それをきっかけに販売数を増やしていき、現在ではおせち料理は1年で20万セット以上売れるようになっています。20年経った今ではおせちをインターネットで購入するのは普通のことになっていますが、始めたころはかなり違和感をもたれることがある販売方法でした。当時私は23、4歳でしたがやれることを一生懸命やろうと思い、飛び込んだ感じですね。

ECサイトで人気の博多久松のおせち例。
―ネット通販で人気を呼ぶ極意はありますか。
松田 現在は自社サイトも含めて6つのECサイトに出品しています。ネット通販なら利益が上がるというわけではなく、やはり店によっては栄枯盛衰があります。当社は、おいしさ、美しさ、安全安心を大切に年ごとに商品を企画してどう販売していくかを考えるという、非常にシンプルな思考でやってきました。やはりおせちなどの大切な日の食膳に特化して取り組んできたことがよかったのかなと思います。

冷凍で届く「お食い初めセット」は冷蔵庫でゆっくり低温で解凍するとおいしく食べられる。
―今回、ご紹介いただく「お食い初めセット」を始められた理由は?
松田 おせち料理は“年に一度”、お正月に家族が集まって健康を願い、楽しむ食事です。これを“一生に一度”に広げて考えたら、生まれてきた赤ちゃんのために祖父母や親族が集まって成長を願う場に当社が食膳を提供できないかと考えたのです。食べることに意味があるものを作りたい、それならまず一番印象に残る場から始めたいと思ったのが理由です。
お食い初めの販売開始は2012年頃でした。マーケティング的には毎年出生数が下がっているので需要は下がっていると考えるのでしょうが、しかしいくら出生数が少なくなっていったとしても、皆さんが生まれた子どもを大切にするという気持ちは不変だと考え、「お食い初め」を大事にしてもらえるような提案ができたらいいと考えました。





「お食い初めセット 料理 (小) 焼鯛 鯛めし出汁付」。焼き鯛は国産のものを使用。
無病息災を願う赤飯、良縁を願う蛤のお吸い物、未来を明るくと願う焼帆立、
それぞれに縁起の良い意味がある野菜煮物など合計15品と歯固め石、祝い箸など必要なものがすべて入っている。
―食材の種類などはどのように決められたのでしょう。
松田 今は3種類のセットを販売していますが最初は1セットから始めました。おせちも同じですが、食材、資材、梱包材までを検討して販売までもっていきます。食材の中心は“めでたい”の焼き鯛ですね。当社は創業当時からかつての結婚式で定番だった焼き鯛を作っていたので鯛を焼く工場を持っていました。その当時のノウハウを活かして焼いています。
冷凍でのお届けです。冷蔵庫で時間をかけて解凍していただくだけで手軽に召し上がっていただけます。また、価格もお求めやすい価格に設定しています。商品のラインナップが3つあるのもご家族のニーズに合わせて利用しやすさを求めた結果ですね。

「お食い初め」は生後約100日を目途に行われるお祝いの食事。
―今後の御社の展望をお聞かせいただけますか。
松田 当社はお正月やお食い初めなど、大事な日のお食事を、思い出とともに召し上がっていただくために、安全・安心なものをおとどけしています。今後も会社もいっしょに働くメンバーも一生懸命取り組んで商品開発してご案内できるように努力していきたいと考えております。具体的には今回紹介した「お食い初め」同様、人と人が関わりを持ち続けるための商品、たとえば「母の日」「父の日」「敬老の日」とかのパーソナルなギフト展開もしていきたいと思っています。
―本日は大変貴重なお話をありがとうございました。

「お食い初めセット 料理 (小) 焼鯛 鯛めし出汁付」
価格:¥5,980(税込)
店名:博多久松美味いもの便
電話:0570-06-1313(10:00~17:00 土日祝日休)
定休日:インターネットでの受付は24時間365日
商品URL:https://shop.hakata-hisamatsu.net/products/sr0022-00
オンラインショップ:【公式】博多久松 〜博多美味いもの便〜 おせち・お食い初めをはじめ、みなさまの晴れの日のお手伝い
※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。
<Guest’s profile>
松田健吾(有限会社久松代表取締役)
1979年福岡県生まれ。1998年有限会社久松に入社。2004年6月「楽天市場」初出店。2019年有限会社久松代表取締役就任。趣味は読書、動画視聴、少し料理。
<文/今津朋子 MC/田中香花 画像協力/久松>