風土を生かし丁寧に造られる上質なワインを、徹底管理で生産者からお届け

2025/03/26

日本にはじめてワインがもたらされたのは安土桃山時代。ポルトガルから鉄砲とともに伝えられたといわれています。以来、食の欧米化とともにワインが脚光を浴び、今やワインは日本人の食生活にとって、なくてはならない存在になりました。洋食だけでなく、和食や鮨など、どんな料理にも合うワインは食を豊かにしてくれます。そんななか、編集長アッキーが注目したのが、食の場を華やかにするシャンパーニュ。京都の老舗ワインショップ「株式会社ワイングロッサリー」代表取締役・吉田まさきこ氏にワインポリシーやシャンパーニュの魅力について取材陣がお聞きしました。

株式会社ワイングロッサリー 代表取締役 吉田まさきこ氏

―まずは、創業からの歴史をお聞かせください。

吉田 曾祖父が明治10年(1877年)に四条柳馬場にて味噌、醤油を商う店を創業したのが始まりです。祖父が大正時代に商売を広げ、当時は、酒類だけでなく醤油や塩などの調味料、卵、昆布、鰹節などの食料品を販売していたそうです。両親が店を継いだ1975年にワイン専門店になりました。これからの日本はより西洋化していくだろうと考えた父母が、ワインをメインに販売していこうと決めたそうです。その後、1982年に株式会社に商号変更いたしました。

創業当時の吉田食料品店。ウイスキーやワインのほか、缶詰や卵など様々な食料品が販売されていたことがわかる。

―現在の事業内容は?

吉田 「心揺さぶられるワインを販売したい」という思いのもと、生産者を訪ねて仕入れたワインを、飲食店さまに卸売りするとともに個人のお客様にも店舗やオンラインショップで販売しています。ほかにもワインセミナー、生産者を招いてのワインディナーやテイスティングイベント、飲食店さま向けの試飲会なども行っています。大きなイベントでは、毎年4月に野外でワインと料理のブースを設けて一般の方に楽しんでいただく「ワインフェスティバル」を開催しています。このフェスティバルでは、普段は気軽に飲めない高価なワインもグラスで販売し、経験していただく機会を設けています。きめ細やかにこれらの活動を続けてきたからこそ、個人のお客さまや飲食店さまと信頼関係を築いてこられたと自負しています。

―吉田社長が家業を継がれた経緯は?

吉田 大学で栄養学を学んだことや、そもそも食いしん坊だったこともあり、食に関わる仕事をしたいと思っていました。当時社長だった母からは「家を継いでほしい」とは言われませんでしたが、「この仕事はおいしいものが食べられるよ」と言われ、心が動き手伝い始めました。そのうちに世界各国の生産者さんを訪ねる機会に恵まれ、彼らの想いや農業としてのワイン造りとアートの共通性などを感じました。「モノづくりとしてのワインも面白い」と思うようになり入社しました。社員として経験を積んだ後、13年前の2012年に母から会社を引き継ぎ代表取締役に就任しました。従業員18人と中小規模ではありますが、独自のワイン販売を強みにできる企業になりました。

―社長に就任された当時はご苦労もあったのでは。

吉田 入社して以来、生産者を訪ねるなどワインの勉強はもちろんしましたし、リーダー的な仕事も経験しました。けれど、実際社長になってみると、経営はまた別もので、多くの問題にぶちあたりました。目の前の問題に向かうなかで、大切にすべきは、「儲けることではなくお客さまのことを考え、お客さまに幸せになっていただくことだ。そのために従業員がスキルと一緒に心も成長して全員で人格をあげることだ。」と感じるようになったのです。その思いを社員と共有し、お客さまと接するうち、事業も次第によい方向に向かっていきました。
京セラ創業者・稲盛和夫さんが主宰されていた「盛和塾」に参加させていただいたことも、心や経営能力を磨く指針になりました。先ほどもお話しした収益の追求よりも顧客と生産者、従業員の満足を重視する「利他の精神」は、まさに稲盛さんの経営哲学から学んだことです。

―女性経営者として思われることは?

吉田 若い頃は時代背景もあり、仕事上で通常のコミュニケーションを取っているだけのつもりでも、キツイ女性だ、と言われることもありました。私が男性なら同じことを言ってもそう言われないだろう、と悔しい思いをしたこともあります。そんなとき、周りの女性経営者の方に相談すると、「女性は男性とは違うやり方で頑張ればいいのよ」と言っていただいたのです。例えば、腹が立つことがあったとしても、にっこり笑って「それは困ります。それは違うのでは」と軽やかにお伝えする。すると、おのずと人間関係が良くなる。女性だからできるきめ細かいサポートやコミュニケーション力が大切なのだと思い至りました。

温度管理を徹底した店内。赤白品種ごとにわかりやすくディスプレイされているから選びやすい。

―商品選びなどワイングロッサリーのワインポリシーについてお聞かせください。

吉田 単に「売れる商品」ではなく、生産者の思いや土地の個性(土壌や気候などテロワール)を重視したワインを販売しています。私はもちろん担当者が自ら現地に赴き、自身の舌で選んだワインです。「ファインワイン」(丁寧につくられた質の高いワイン)に特化し、その背景や価値を忠実にお客さまにお伝えすることも、弊社のポリシーです。生産者さんが大切に造ってくださったワインは、品質を保つことも大切です。弊社では、徹底して温度管理するワインセラーだけでなく、店内もワインに最適な温度に保ち、上質なままお客さまにお届けします。

フランスシャンパーニュ地方でつくられるシャンパーニュは、
きめ細やかな泡が特徴で、ミネラル感もあるすっきりした味わい。京料理にもよく合う。

―今回ご紹介いただくのは、特級のシャンパーニュです。

吉田 シャンパーニュは、フランスのシャンパーニュ地方で造られるスパークリングワインです。畑は、特級、1級、2級と分かれていますが、今回は、特級畑(グラン・クリュ)で作られるシャルドネ(白ブドウ)100%のシャンパーニュ「ギィ・シャルルマーニュ グラン・クリュル・メニル・シュール・オジェ レゼルヴ ブラン・ド・ブラン NV」をご紹介します。メゾンと呼ばれる大きな生産者ではなく、生産量が限られた小規模生産者が自家栽培で丁寧に造るものです。

シャンパーニュ地方の土壌の75%は石灰質で、白亜質土壌や泥灰土質土壌を含み、地下にはチョーク層が広がっています。 なかでも、この生産者の畑はチョーク層が分厚いこともあり、ミネラル感が豊富です。果実味がキレイで、酸味とのバランスの良さも特徴です。冷やして味わうことはもちろん、もし泡が抜けてしまっても白ワインとして楽しめる高品質なシャンパーニュです。

上・石灰質などが多く含まれるシャンパーニュ地方の土壌。下・ギイ・シャルルマーニュの地下セラー。

―どんなお料理と好相性でしょう。

吉田 白ブドウ100%のブランドブランシャンパーニュということもあり、キリっとした味わいです。酸味もあるので日本料理、特に京都の和食との相性が良いと感じます。たとえば、鱧料理や白身のお鮨、蕪(かぶら)蒸し、天ぷら、鍋料理などにも合います。

定期便には、ワインの解説はもちろん、料理との相性などを記した資料が付く。

―定期的にワインが届くセット販売も人気だとか。

吉田 はい。毎月ご家庭にお届けする「定期便サービス」もあります。「食卓に新しい発見をもたらすセレクト」を心がけ、その時季飲み頃のワインを組み合わせてお送りしています。例えば白2種類の場合は、すっきりしたものとコクがあるものという違うタイプ。ワインの背景をお伝えするとともに、この時季のこんな食材との相性がよいとか、京都でこの時季食べられるこんな料理と合うなど解説文もお付けしています。

―社長にとっての今後の課題は?

吉田 コロナ禍で業績に大打撃を受けた際、何か飲食店さんのためにできることはないかと考え、地元店舗のテイクアウトマップを作り好評をいただきました。今後もどんな困難がふりかかるかもしれません。そんなときに私たちにできる最大限のことを考え備えたいと思います。弊社も創業から100年以上が経ちました。父から母へと継がれ、私が引き継いだ会社とワインの歴史を、次世代にどのようにバトンタッチするか。後継者問題は大きな課題です。

―今後のビジョンをお聞かせください。

吉田 これまでと同様「質の高いワインと情報提供」を継続しながら、地域の特性や京都の文化的背景を発信していける企業でありたいと思っています。新たな展開としては、世界に誇れる日本酒を広める活動に挑戦したいとも思っています。ワインと同様に付加価値を加えた販売方法を模索中です。

―貴重なお話をありがとうございました。

「ギィ・シャルルマーニュ グラン・クリュ ル・メニル・シュール・オジェ レゼルヴ ブラン・ド・ブラン NV」(750ml)
価格:¥13,200(税込)
店名:winegroceryオンラインショップ
電話:075-275-1309(10:00~19:00 日曜日・月曜日除く)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://www.winegrocery.com/c/1358/1360/gr2716/1386/223/02202
オンラインショップ:https://www.winegrocery.com

「定期配送2本プラン(チーズ2種とワイン1本)他」
価格:¥月額¥5,500(税込)~
店名:winegroceryオンラインショップ
電話:075-275-1309(10:00~19:00 日曜日・月曜日除く)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://www.winegrocery.com/f/salon
オンラインショップ:https://www.winegrocery.com

※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。

<Guest’s profile>

吉田まさきこ (株式会社ワイングロッサリー 代表取締役)
京都で100年以上続く老舗ワイン商「ワイングロッサリー」の3代目。
ヨーロッパを中心に新世界など世界各国のワイン生産地を毎年訪問し、研鑽を深める。京都で最も歴史の古いワイン専門店として、一流の生産者たちと特別なワインイベントを開催し、コアなワインファンの皆様と海外の生産者たちの親密な交流のコーディネイトも行っている。過去のワイン講師歴は、合計200回以上、延べ4000人の受講者が参加。

<文/中井シノブ MC/藤井ちあき 画像協力/ワイングロッサリー>

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