
きれいな水、おいしい米から生まれる、富山発のおかきはギフトにも最適
2025/04/28
おいしいおかきは、良質の米ときれいな水から生まれます。富山県はこの条件が兼ね備わった名産地。今回、アッキーこと坂口明子編集長が推しているのが富山のメーカー、株式会社御菓蔵が手がける詰め合わせ「万葉の花園」「越中富山の常備菓子」。国内産もち米の生地、おかきの食感、香りにこだわって作り上げたおかきはギフトにすればだれからも喜ばれます。この商品を製造する株式会社御菓蔵 代表取締役社長、片山雄博氏に富山産おかきの魅力について取材スタッフがお話をうかがいました。

株式会社御菓蔵 代表取締役社長 片山雄博氏
―社長は創業後、何代目の社長でしょうか。
片山 私の祖父が創業して私で3代目です。創業して今年で90年になります。我が家はもともと生糸業と駄菓子屋を営んでいたのですが、海外から人絹が輸入されるようになると立ち行かなくなってしまいました。そのため、別の商売をしなければならなくなり、米菓を扱うようになりました。
祖父は京都に丁稚奉公に行っていたのですが、母に、つまり私にとっては曾祖母になりますが、呼び戻されて米菓製造に携わり始めたそうです。その後、祖父は第二次世界大戦に出征したため製造休止を余儀なくされました。終戦後、復員し事業を再開しようとしましたが、米の統制ですぐにはできず、柿の皮などを煮てお菓子のようなものを作って商売していたと聞いています。米が少しずつ手に入るようになってくると、米菓の製造を再開することができるようになりました。事業を拡大していき、1988年、おいしい米菓を消費者の方に直接お届けしたいと直売部門として設立したのが今の株式会社御菓蔵です。
―社長は最初から会社を継ぐつもりでしたか。
片山 いいえ。私が小さい頃は自宅とは離れた場所に工場があり、祖父や父が仕事をしている姿をあまり見たことがありませんでした。物心つくかつかないかくらいの頃に、何度か祖父の自転車に乗せてもらって工場に行ったことを記憶しているぐらいです。ただ、家にはいつもおかきがあったので、友だちが来たら一緒に食べていた・・・そんな感じでした。
大学進学で上京して卒業後は主に求人広告を扱う広告代理店に勤務し、その後、広告制作会社に移り営業をしていました。その間、しばしば出張で東京に来る父と食事する機会があり、その中で会社の現状などを聞くうちに徐々に興味が湧いてきました。31歳で富山に戻り工場勤務、営業などを経て現在に至るという流れです。

良質の米とおいしい水で作られる富山のおかき。
―富山では米菓作りが盛んなのはなぜですか。
片山 おいしいおかき(あられ・かき餅を含む)を作るにはおいしいお米とおいしい水が必要ですが、富山はこの条件が揃っています。
北アルプスや飛騨高地からの雪解け水や雨は、地質に恵まれた富山県の扇状地で研ぎ澄まされ、おいしい水になります。弊社では庄川系の地下水を地下100mから汲み上げて使用しています。
また富山県は米どころとしても全国的に有名です。弊社では富山県産、砺波平野でつくられたもち米を中心に使用し、昔ながらの製法を大切にし、日々研究開発を重ね、技術をみがき、おいしい米菓づくりに精進しています。
さらに、富山県は副素材となるホタルイカや白エビなど豊かな天然素材にも恵まれています。弊社ではそれらを用いた商品も多数開発しています。
―基本的な質問ですが、おかきとあられ、おせんべいの違いは何ですか。
片山 米にはもち米とうるち米があります。餅やお赤飯になるのがもち米で、ご飯として食べているのがうるち米です。おかき、あられはもち米を原材料としていて、おせんべいはうるち米を原材料としてつくられています。また、おかきとあられは大きさによって区別され、小型のものをあられ、それ以外のものをおかき・かき餅とするようです。

「万葉の花園(小)」は3種類のおかきを詰め合わせている。
―御社がおかきにこだわるのはなぜですか。
片山 弊社は創業以来、もち米の甘さや香りを活かした生地づくりと、おかきならではの食感にこだわってきました。それは、おかきの方がもち米の粘りを活かすことでいろいろな食感を生み出すことができるため、また、おかきの方がお米の味や風味をより味わっていただけると思っているからです。たとえば生地に味をつけたとしても、咀嚼していく中で最後に感じるのはお米の味ではないでしょうか。私はお米の風味や甘味をより感じていただけるのはもち米からつくる米菓だと考えています。

おかきのおいしさの秘密が分かる直売店「御菓蔵直売店」。
―「御菓蔵直売店」が人気だそうですね。
片山 砺波市太田に工場と隣接した「御菓蔵直売店」があります。ここには囲炉裏をかたどった試食コーナーがあり、できたてのおかきを召し上がっていただけます。また、工場見学通路から、おかきの製造ラインを実際に見ることができます。創業当時は工場見学ができるミュージアムショップが少ない時代で、観光も兼ねた施設としては先駆け的な存在でした。
店を開くときは国道沿いに店をつくるか、工業団地の中で人通りは少ないけれど工場に隣接した場所につくるか迷ったそうですが、できたてを食べていただくには工場の近くがよいと考え、現在の場所を選んだそうです。最初はやはり来客数が少なかったらしいのですが、お客様の口コミで広がり、現在では弊社の旗艦店となっています。
2020年には工場見学通路をリニューアルしました。実際におかきを食べていただいき、製造過程を見て、富山のおかきのおいしさの理由を知り、富山のおかきのファンになっていただければと思っています。
―ほかにも店舗はありますか。
片山 富山駅に「御菓蔵とやマルシェ店」、南砺市に「御菓蔵ア・ミュー店」があります。そのほか県内の「道の駅」などでも販売しています。富山に来ていただければ弊社の製品を目にしていただく機会はあると思います。また、オンラインショップから購入していただくこともできます。

「万葉の花園(小)」には、黒豆入りサラダ味の「かたかごの詩」、
青のり入りサラダ醤油味の「あしつきの園」、アーモンド入り黒糖味の「伊久里の森」がセットになっている。
―今回、ご紹介いただく「万葉の花園」はどのような商品でしょうか。
片山 弊社の直営店限定商品です。豆入りサラダ塩味の「かたかごの詩」、青のり入りサラダしょうゆ味の「あしつきの園」、アーモンド入り黒糖味の「伊久里の森」。万葉集に収められた歌に因んだおかきを詰め合わせギフト商品としたものです。富山は万葉集の歌人、大伴家持が国府として赴任してきた地です。家持はこの地で220余首と多くの歌を詠んでいます。富山県に因んだギフト商品として、万葉集から越中万葉歌を題材に取り入れたのがこの商品です。
たとえば、「かたかごの詩」の商品名は、大伴家持が、周りにカタクリの花が咲く井戸で水汲みをする少女たちの姿を詠んだ「もののふの八十少女らが汲みまがふ寺井の上のかたかごの花」から考えました。
―お客様の反応はいかがでしたか。
片山 弊社の商品はご自宅で召し上がるために購入される方が多いのですが、この商品はギフトにされる方が多いようです。たとえば、親しい方が弊社のおかきをよく召し上がってくださっているのをご存じとのことで、お土産にしてくださるというお客様がいらっしゃいました。おいしいからだけでなく、商品を通して思い出を語り合うなど、コミュニケーションツールの一つとしてご使用いただけているのが感慨深かったですね。

「たまねぎおかき」「黒豆おかき」「白えびおかき」「昆布おかき」「しそおかき」の
5種類と紙風船が配置薬の箱を模したレトロな赤い箱に入った「越中富山の常備菓子」¥1,080。
ユニークな発想で「全国推奨観光土産審査会」で菓子部門トップの「厚生労働大臣賞を受賞した。
―「越中富山の常備菓子」はユニークな商品ですね。
片山 「富山の配置薬」は江戸時代から続く伝統産業です。かつては赤い箱が一家に一つ置いてあり、富山の薬売りが各家庭を回って使った分を補充し、代金を回収していました。そしておまけとして子どもさんに紙風船をプレゼントしていたそうです。「越中富山の常備菓子」はレトロなデザインの赤い箱に5種類のおかきと紙風船が入っています。シニア層が見れば懐かしく、若い方にはレトロ感覚と捉えられるのではないかと開発しました。製作にあたっては、私も図書館に行って昔の富山の薬売りや薬のパッケージについて勉強しました。
富山に帰省された方がお土産に買って帰ってくださって、「昔、富山には薬売りという人がいて・・・」などと話題にしていただけているようです。おいしさを大事にしながらも、富山らしさを切り口にした付加価値のある商品だと思っています。今後もこういった商品を開発していきたいと思います。

レトロなデザインが若い世代にも人気の「越中富山の常備菓子」。
―御社の今後の展望をお聞かせいただけますか。
片山 富山の食文化の発信基地となれればいいかなと思っています。また、歴史・文化だけでなく、新しく付加価値のあるものをお客様に提供していけたらと考えています。
―富山のおかきのおいしさの秘密が分かりました。本日は貴重なお話をありがとうございました。

「万葉の花園」(小)
価格:¥2,160(税込)
店名:散居の里・おかき処御菓蔵オンラインショップ
電話:0120-325553(9:00~17:00 月~土)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://www.okakura.co.jp/SHOP/10600.html
オンラインショップ:https://www.okakura.co.jp/

「越中富山の常備菓子」
価格:¥1,080(税込)
店名:散居の里・おかき処御菓蔵オンラインショップ
電話:0120-325553(9:00~17:00 月~土)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://www.okakura.co.jp/SHOP/10056.html
オンラインショップ:https://www.okakura.co.jp/
※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。
<Guest’s profile>
片山雄博(株式会社御菓蔵 代表取締役社長)
1984年富山県生まれ。駒沢大学卒業後、求人広告代理店、広告制作会社を経て2015年9月に株式会社御菓蔵に入社。2021年5月に同社代表取締役社長に就任。工場の見学通路などもリニューアルし富山の食文化でもある「おかき造り」の伝承に努めている。
<文/今津朋子 MC/田中香花 画像協力/御菓蔵>