100年の歴史に裏打ちされた技術で、“漁師めし”を商品化
和の朝食やおにぎりなど、パリッとした板海苔を食べていると忘れがちですが、海苔は、11月から2、3月にかけて収穫される海藻。採取後、梳く、乾燥するなどの工程でつくられる板海苔(乾海苔)は、一年を通じて全国の家庭の食卓に並ぶのに対し、生海苔はすぐに鮮度が落ちてしまうので、その時期に地元でだけ食べられてきた貴重な食材です。紀行番組で、漁師さんが生海苔を刺身のように食べる光景を見ることがありますが、摘み立ての生海苔を浜辺のストーブでコトコト煮るのも有明海の冬の風物詩です。
有明海に面した熊本市海路口町で海苔を製造する株式会社通宝が、その“漁師めし”を商品化したのが「海苔職人の百年生のり」です。厳寒期の早朝、海で摘み取った生海苔を漁場から10分の工場ですばやく炊き上げ、海苔の風味をぎゅっと濃縮。だしは使わず、しょうゆ、みりん、砂糖だけで煮ることで、海苔そのものの旨味を生かしています。風味よく、とろり、つるっとした味わいは、熟練の職人が生海苔を厳選し、仕込みや煮詰める時間、温度、タイミングを見極めることで可能になります。
「百年生のり」は、同社が海苔の生産50年、加工50年、合わせて100年の歴史をもつことからネーミングしたそう。まさに海苔を知り尽くした職人ならではの逸品なのです。